このブログは本当にたまにしか更新しない節目の日記と化している。

だから、今日は少し書こうと思う。

今日、ペットフード加工場の物が建った。
とはいえ、まだ土間コン打ったり、水道、電気…と、
もう少しかかるのだが、
とはいえ、物が建ったのを見ると、感慨深いものがある。

シカ肉を活用し、ペットフード化しようかと、
知人にアイデアをもらって考え始めてから4年以上、
気付けば、自分自身、猟師にもなっている。

当初は殺生は嫌だ、絶対にやりたくないなどと言っていたものの、
正直な所、猟師にならなくてもこのペットフードにすることはできた。
しかし、猟師になった。

なぜか。
この先、味気ない、商売っ気たっぷりの投稿が増えていくであろうから、
今のうちに、初心という事で一度、まじめに書いておこうかと思う。


数年前、地域の農作物における鹿の獣害というものを見ることが多々あった。
当初は地域おこし協力隊という事もあり、
獣害を何とかしなければ!的な流行りというか、格好つけというか、
そんな感じで、地域活動として獣害何とかしなければ~
といった感じであった。

その頃はというと、まぁまぁ、本当に上っ面であった。
獣害といっても、自分自身が農家ではないから。
僕は被害はない。
一度、ジャガイモをイノシシに荒らされてイラッとしたが、
とはいえ、売るものではない。
僕自身が本当に困るという事はなかった。
正直な所、農家目線にはなれなかった。
農業のために獣害対策を!と言ってもなんかしっくりこない。

で、ペットフード化をしていく中で、猟師というのは外せないポジション。
恐る恐る周りから話を聞いていくと、猟師すなわち、地域屈指の偏屈者。
やべぇとこ足突っ込んだなぁ~というのが、最初の本音。

いまでは同じグループの仲間であるが、
友人の父親が猟友会との事で、そこから徐々に徐々に紹介してもらった。

一年目は猟がある日にはともかく通った。
とはいえ、猟友会の面々からしても、誰だこいつは?の世界。
けれども、ともかく通った。
この頃はワナ免許しか取らない、殺生はしたくないと言っていた。

二年目、解体を少しずつ手伝わせてもらえるようになった。
罠の見回りにも同行させてもらったりもした。
その頃から、僕自身が感じていた違和感を自分で理解し始めていた。
そして、猟友会のおっちゃんたちからも早く鉄砲の免許を取れと言われ始めた。
この頃には、免許を取ろうと思っていた。

で、今年、通い始めてから三年目。
新米猟師として猟友会に参加している。


僕が感じていた違和感。
命を取らない人ほど、鹿を減らせ、鹿を獲れって言うんですね。
勝手なもんです。

畑の網に引っ掛かる、
猟師に連絡が来る、
猟師が鹿を殺める。
   その鹿を回収する、
   畑にバックホーで約2m弱の穴を掘る、
   そこへ鹿を埋める。

はっきり言って、重労働です。
農繁期なんかはホント大変です。
だし、うちのグループはたまたま重機もあるし、畑もある。
だけど、これって当り前じゃないんですよね。
山梨県は獣害駆除として鹿一頭当たり15,000円が出ます。
しかし、これって、重機とか持ってなければ、
レンタルではこの金額じゃできないんです。

正直な所、山に入ると本当にたくさんの鹿が捨てられています。
人目につかないだけです。

うちのグループは山中放置は絶対にしない。
はっきり言って、山に放置する方が楽ですよ。
しかし、なぜ、絶対に穴を掘って埋めるか。

重機があるから、畑があるから、ではないんです。

これまでを生きてきた、鹿に対するせめてもの供養なんです。
荒っぽいおっちゃんたちだから、そんなことは口には出しません。

うちのグループの多くは60代70代、
いまのように、当り前に牛や豚肉が食えた世代ではないんです。
おっちゃんたちが若いころの貴重な蛋白源は、鳥やウサギ、もしくは魚
イノシシやシカが獲れるということは本当に珍しいことだったそうな。
実際、鹿を山で獲った時などは血の一滴まで無駄にせず頂いたそうです。
凝固した血をポケットに入れて持って帰る人もいた位。

そりゃぁ、昔は尊いもんだったんだぞ。
いまとなっちゃぁ、鹿っくれぇじゃぁ。いくらでもくれてやらぁ。

とはいうものの、各方面から獲れ獲れ獲れ、と言われても、
命を頂くことに後ろめたさを感じているのではない。
命を無駄にしていることに後ろめたさがある。

これが、僕の先輩猟師たちの本音。
どんな誰よりも、命の尊さをわかっている人たち、
生きるために、食べてきた世代の人たち。


いけてる(埋めてる)鹿をさ、
うまい事つかってくれるっちゅうんだから、
俺らからしたらうれしいもんだよ。

そう、言ってくれたおっちゃんの本音、

僕が猟師になった理由。

こんな、おっちゃんたちみたいになりたい。


正直に言う、僕は獣害対策として、鹿肉を活用するつもりはない。
人間の勝手都合の施策によって減らされる命を粗末にはしたくはない。

せっかく頂いた命、
うちのごんたに食わせるならば、最高に美味い物を。
ペットが最高に喜んでくれるゴハンにしたい。