「若い頃、どう過ごしていたか全く思い出せない」
そう答える認知症の老女に、監督はiPodを渡し
「聖者の行進」を聴かせてみせる。
すると彼女は、目を輝かせてこう答える。
「ルイ アームストロングね、学生時代を思い出すわ。
母に内緒でコンサートに行ったの。」
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ソーシャルワーカー ダン コーエンによる
音楽による認知症治療を追ったドキュメンタリー。
認知症患者に「思い入れのある曲(Personal Song)」
を聴いてもらうことで、曲の記憶と共に自分や家族のことを
思い出すのではという思いから、施設を巡っていきます。
実際、何事にも無反応だった患者が音楽を聴いた瞬間
別人のように生き生きと踊りだすのは
魔法を見るようでした。
「1000ドルの薬より40ドルのiPodが
患者の心に効果がある。」
自分の体験からも、それは実感できることです。
1曲の歌が、心の病気を治すことはあります。
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本作にも出ている、オリバーサックス氏の
「音楽嗜好症」という著書で
冒頭、いくつかの引用を挙げながら
「音楽の無用性」を謳った上で
音楽の力を様々な件例から紐解いていましたが
それをやってるボクにも、どうして音が上下したり
打音が刻まれたりするだけで、うれしくなったり
悲しくなったりするのか、さっぱり分かりません。
分からないけど、その気持ちに正直に
音を楽しんでいこうと思います。
http://personal-song.com/