前回の記事では、うつ病に関するテレビ番組を見て「私の脳はストレスで炎症を起こし物理的にシナプスが消滅しているんだ」と気づき、育児休暇のタイミングでストレスを徹底的に断つ決意をしたところまでを書きました。
今回は、育休という激動の日々の中で、私が具体的にどうやって「脳のケガの治療(セルフケア)」を進めていったのかをお話しします。
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いざ「ストレスを断とう」と決めたものの、当時の私はふと、あることに気がつきました。
それは、私がどうしようもない怒りを感じる出来事には、明確な「2つのパターン」があるということでした。
1つ目は、「人にお願いされた時」。
例えば、家族から「これ持ってきて!」と頼まれた時。他愛もない日常会話のはずなのに、当時の私はそれをすべて「命令されている!」と過敏に捉えてしまい、「なんでそんなに偉そうなんだ」と強烈な怒りを感じていました。
2つ目は、「やることが溜まり、自分だけが忙しい時」。
勝手に自分の中で「あれもこれもやらなきゃ」と追い込み、「なんで俺だけがやらなきゃいけないんだ」と怒りを募らせていました。どちらも、以前の元気な自分なら普通にこなせていた日常生活の一コマです。つまり、私はこの2つの出来事に対して、脳の回路が異常に過敏になっていたのです。
そこで私は、まず妻にこの2つのパターンを説明しました。全く他愛もない日常の中であっても、これら二つの状況では正常でいられなくなってしまう病気であることを理解してもらったのです。
その上で、ストレスを断つための見分ける基準、マイルールを作りました。
それは、頭の中で「やらなきゃ」と思ったことすべてをやめることです。
「俺がやらなくても、誰も死にはしない」
そう自分に言い聞かせ、抱え込んでいたものを一つずつ手放していきました。
具体的には妻に先ほどのパターンの説明と一緒に「家事をやらない宣言」をしました。また、それまで続けていた資格の勉強や、一喜一憂する有価証券の売買もすべてやめました。
さらに、脳をリラックスさせるために「小説を読むこと」を始めました。
逆に、脳に負荷がかかる小難しいビジネス書や、当時は医療系の専門書などもすべて読むのをやめました。ただただ展開が面白くて、何のストレスもなく読める小説の世界に没頭する時間が、当時の私にはちょうどよかったのです。
これらの「脳の断捨離」は、私に驚くほどの効果をもたらしてくれました。
これまでは、少し脳が休まっても、すぐにイライラして炎症を起こし、シナプスが減少する……という悪循環を繰り返していました。しかし、徹底的に「やらなきゃ」を排除して脳を適切に休ませたことで、傷ついたシナプスが回復する時間を与えました。
これらを続けるにつれて、あんなに頻発していた「どうしようもない怒り」を覚えることも、綺麗さっぱり無くなっていきました。
さらに余談ですが、このとき小説をたくさん読む中で、私は自分が生きる意味のようなものを見出すことができました。
それまでは目先の「幸福」ばかりを追い求めて空回りしていましたが、人として良い行い、真理や美徳を追求することこそが、巡り巡って人間を本当の幸福に導いてくれるのではないか、と気づけたのです。
「やらなきゃ」を手放し、ただ脳を休ませる。
この引き算のセルフケアこそが、私の脳の炎症を鎮める最大の特効薬となりました。
(第7話へ続く)