「卸売機能原理」とは、流通における卸売業の介在の根拠となる原理です。
その代表的な原理は、「取引数量最小化の原理」と「不確実性プールの原理」です。アメリカの経営学者である、M.ホール氏「取引回数極小の原理」(Principle of Minimum Total Transactions)(1948)によって提唱されました。
■取引数量最小化の原理
取引数量最小化の原理とは、流通取引において卸売業者が介在することで、市場における取引数が減少するという原理です。
例えば、製造業者が10社、小売業者が5社存在している場合、市場で行われる取引数は10(製造業者数)×5(小売業者数)=50通りとなりますが、
卸売業者が介在した場合、製造業者も小売業者も卸売業者のみと取引すればよいので、市場で行われる取引数は10(製造業者数)+5(小売業者数)=15通りと少なくなります。
卸売業者が存在することで、製造業者、小売業者は、取引を効率化することが可能になります。
■不確実性プール原理
不確実性プール原理とは、流通取引において卸売業者が介在することで、市場における在庫数が減少するという原理です。
例えば、小売業者が10社存在している場合、需要の変化に対応するために各々が在庫を50個必要であるとします。そのときの市場の在庫は10(小売業者数)×50(在庫数)=500個です。
しかし、卸売業者が介在して商品を速やかに供給できれば、小売業者は50個よりも少ない在庫で需要の変化に対応できるようになります。
卸売業者が介在することで、小売業者は余計な在庫を減らし、在庫スペースも効率化させることが可能になります。