「受容 vs 支配」
これは、「外部環境への適応に関する」リーダーの葛藤です。
リーダーは、環境への適応(主に顧客への貢献や顧客ニーズの受容)を意識しながらも、一方で環境(市場や顧客)に対する支配力を身に付けなければなりません。顧客への貢献や顧客ニーズの受容を軽視すると組織の存在が危うくなります。しかし一方、市場や顧客に対する支配力を手に入れなければ、顧客にサービスを提供したり、貢献する機会を失うというリスクにさらされてしまいます。
「顧客ニーズが多様化してきているので、わが社も多様な顧客ニーズに対応していくべき」――。
こういう考え方をよく耳にしますが、多様な顧客ニーズのすべてに対応すると、組織は必ず崩壊します。
なぜなら、組織が持っている資源は有限だからです。多様な顧客ニーズのすべてに個別に対応していくのは、原理的に不可能なのです。組織が持つ資源は有限なのだから、有効な活動を行うためには、多様なニーズに対応するのではなく「誰の、どんなニーズに応えていくのか」を決めることが大切です。そして、それ以外の顧客ニーズは腹をくくって切り捨てなければなりません。
一方、特定のニーズを受容するだけではなく、顧客に対する自分達の交渉能力を高めて、顧客を支配していくことも考える必要があります。例えば、顧客に「この品質でこの価格を実現できるのは御社しかない」と感じてもらえるような方法で支配していくのです。
リーダーは、市場や顧客と向き合うシーンで、この受容と支配のどちらを選ぶのかという葛藤を抱えることになります。