衰退業界とは・・・継続的に業界全体の売上規模が減少している業界のことです。
衰退業界にいる企業は、チャンスよりも多くの脅威にさらされています。
競合の脅威は非常に高く、仕入先、お客様、代替の脅威も非常に高い場合がほとんどです。
この業界で企業が選択しうる代表的な戦略的オプションは、「市場リーダーシップ戦略」、「ニッチ戦略」、「収穫戦略」、「撤退戦略」の4つです。
①市場リーダーシップ戦略
衰退業界では、需要減退に伴い生産や流通などにおいてしばしば過剰能力をかかえることになります。
こうした業界の企業は、過剰能力が需要に見合ったサイズに修正される過程で、大規模な業界再編に耐えなければなりません。
しかし、こうした再編後には、効率性が高く無駄のない少数の企業は、脅威がほとんどなく多くのチャンスが存在する環境を享受することができます。
企業が業界再編を乗り切るためには、業界再編前に自社が市場リーダーとしてのポジションを確保しておくことです。
そして、来るべき再編を乗り切れないと思われる企業を買収するなどして市場退出を促し、自社にとって有利なポジションを可能な限り早く獲得することです。
②ニッチ戦略(すきま)
ニッチ戦略を採る企業は、事業展開を狭く絞り、業界のある特定セグメントに集中します。
もしほんの数社しかこの特定のニッチを追及しなかった場合、業界全体の需要は減少していたとしても、それらの企業は有利な市場環境を享受することができます。
例えば、飲料や酒類販売で、好立地なところを確保し自販機販売に特化している会社は、安定した収益を上げています。
③収穫戦略
収穫戦略を採ろうとする企業は、長期間にわたってシステマチックかつ段階的に業界から退出しようとします。
そして、退出期間中に可能な限りの利益を収穫しようとするのです。
収穫戦略の実行にはさまざまな方法があります。
製品ラインの縮小、配送網の縮小、利益の上がらない顧客の切り捨てなどです。
そして最終的に、ある期間にわたる収穫の後、その事業を業界のリーダーに売却するか、単に操業を停止して収穫戦略を完了させるのです。
④撤退戦略
衰退する業界に身を置く企業にとっての最終の判断は撤退です。
収穫戦略との違いは、撤退行為が、非常に短期間で終了することと、業界の衰退パターンがはっきりした直後に実行に移される場合が多い、ということです。
撤退戦略は、ある時は売却によって事業を絞り込んで残りの事業経営に集中するため、またある時は資金調達のため、さらには部分的に撤退してある事業の操業を効率化するために実行されます。