「あるべき姿と現在の姿とのギャップにより違和感を感じる状態」を、認知的不協和と言います。
リーダーがメンバーを厳しく叱った場合には、この認知的不協和が起こります。
そして、それを解消しようとしてメンバーが自らを変えようとする時、それはやる気と成長につながっていくのです。
しかし、これは、「自責化できているメンバー」にしか通じません。
残念ながら世の中のほとんどのメンバーは、自責ではなく、他責で物事を発想しています。
ですから、「叱って育てる」は普通のメンバーには通じません。
では、前提として何があれば「叱って育てる」ことができるのか?
メンバーを育てるには、まずは「自尊心を持たせる」という事が大切です。
「自分が好き」「自分ならばきっとできる」という思いがある人は、リーダーから問われなくても、自分で自分を追い込むことができます。
逆に、自尊心が低い人は、「自分にはできっこない」「どうせやってもムダだろう」と考えがちです。
そうすると、ますますリーダーに問い詰められることになり、またもや自尊心が低くなるという負のスパイラルに陥ってしまいます。
メンバーの自尊心を高めるには、「小さな成功体験」をたくさん積ませることが大切です。
小さなハードルを目標として、確実にクリアさせ、自信がついたところで高めのハードルにチャレンジさせるのが、メンバーを育てるコツです。
そうは言っても、組織では目標数字を下げるわけにもいきません。
その場合には、数字以外に小さな目標をつくります。
たとえば、個人の努力目標や自己啓発目標をつくり、それを達成させていく。
できたことを「認めて」あげる。
そして、お互い次の成功体験を作るためのハードルを設定して、振り返ると成長していた・・・、という状況を作ってみることです。