事業を承継するということは。 | ソリューションのおぼえがき

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事業承継について整理するフレームとしては「事業」「経営権」「財産」3つの分野があげられます。

その中の「経営権」と「財産」では株式、事業用不動産、債務保証、個人財産などの「目に見える経営資産」の扱いがメインテーマとなります。

一方、「事業」の承継のテーマは“事業そのもの” であるため、その多くが考え方、ノウハウ、経験などの「目に見えない経営資産」がテーマとなるといえるでしょう。


大企業では、この「目に見えない経営資産」について、業務プロセスの文章化やマニュアル化が行われており、他の者への業務の「承継」を意識した「見せる化」の取組みが日常業務の中で行われています。


しかし、中小企業では、会社の所有と経営を一体化させて、意思決定の速さときめ細やかな対応ができる体制の構築のほうを優先してしまいます。そのために、他の者への引継ぎを意識した業務プロセス構築の必要性が低いと考えられてきました。


言い換えれば、「事業」のノウハウが現経営者の“頭の中にだけ入っている” 状況にあり、「承継」の仕組みが構築されていない中で、どのように後継者に「事業」の承継を行っていくかが大きな課題といえます。


①戦略の改革
「事業」の承継の真の目的はなんでしょうか。それは「将来」にわたり会社を存続させていくことにあるはずです。
変化の激しいこの時代においては、これまでの現経営者の成功体験や手法をマネするだけでは健全な成長を維持することすら難しく、事業承継後に弱体化・衰退する可能性もあります。
現経営者が築いた「会社の土台」をしっかりと踏まえつつ、後継者自らが環境変化の背景を捉え、自分ならではの強みを加えて、事業承継後も世の中から必要とされる会社であり続けるための「成長戦略」を考えて、経営することが重要になってきます。
そのための有効な方法としては、後継者が中心となって「事業計画の作り込みを行う」ことです。
「事業計画」を作成する過程において“事業そのもの”を数字や言語化による「見える化」するプロセスは必要不可欠であり、その過程を通じて後継者に会社や事業に対する理解と気付きを与え、さらなる成長へのヒントを得ることができる環境を整えなくてはなりません。


②経営管理体制の改革
「会社」の全てを知っている現経営者はうまくできたとしても、後継者一人だけでは難しいことも多いでしょう。その場合は、自分と同じようなリーダーシップを求めるべきではありません。次世代にあったリーダーシップの形、例えば後継者だけでなく、幹部候補生(次世代幹部)にも権限を委譲するなどピラミッド型組織にすることで、現経営者に依存しがちだった会社を組織的な経営に変えることで、未熟な後継者でも会社を成長させることも視野に入れるべきでしょう。


③組織・人事の改革
今はモチベーション高く働いている従業員も、事業承継という大きな「環境の変化」に不安を覚えるかもしれません。現経営者が元気なときに、後継者が中心となって、経営理念、経営戦略等の公表や納得感のある評価制度の構築などの組織風土づくりをし、経営体制を明確にすることで、従業員が持つ「環境の変化」という不安は払拭されるでしょう。後継者が主体的に実施するこれらの取組みを現経営者が認めて後継者のバックアップをすることにより社内が活性化され、後継者に求心力が生まれてきます。