年功主義・能力主義・成果主義の三つのコンセプトの狙いを以下の通りまとめました。
A:年功主義
新卒を採用・育成し、年齢・勤務を重ねるごとに徐々に処遇をよくしていこうという考えに基づいています。
終身雇用、企業内組合とともに、日本の高度経済成長を支えた日本的経営三種の神器の一つ。
①右肩上がりの成長が前提
②総額人件費の抑制効果を果たす
(いくらがんばっても急には賃金が上がらない)
③「落ちこぼれ」を意図的につくる人事評価
(同期から遅れると二度と追いつけないプレッシャーを利用)
④「秘密主義」の評価制度
(いつどのような評価が行われたかわからないままに「落ちこぼれ」になる緊張感を利用)
B:能力主義
年功主義の弊害が自覚され始めたころに、「できる人材」と「できない人材」の差を評価し、処遇に格差を付けるべきだとして登場した人事制度手法です。
職能資格制度・職能給等、オイルショック以降の日本企業のほとんどが採用しました。
C:成果主義
各人の処遇は、各人があげる成果の内容で決定するということを強調し、業績にかかわらず処遇だけは上がりつづけるスタイルになっていたものを改革しようとした手法です。
従来の年功的な制約、職能給的制約を排除し、若くても思い切った処遇ができる可能性をひらき、活力を向上させようとしました。
①業績に応じて賃金原資を上下させる
(あくまでも自分たちで努力した結果、企業の業績が良くなるという見通しが前提)
②実績重視・業績連動型の人事評価
(最終結果である業績に対して直接貢献している点にできるだけ焦点をあてて評価)
大きく3コンセプトが考えられますので、どの比重を多くするか?人事制度構築の難しい論点です。