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ローラン・プティジラール指揮 
フランス交響楽団 14分25秒
録音:1990年9月 Studio de la Grande Armee ADDA590047

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ローラン・プティジラールについては知らなかったのネットで調べてみると、作曲家として活躍していて、特に映画音楽の作品がいくつもあることがわかりました。

 

演奏をしているフランス交響楽団というのも初めて聞く名前だったので、もしや幽霊盤かもしれないくらいに思ってCDを手にしました。

 

ローラン・プティジラール自身が設立した、パリ・フランス交響楽団というのがあり、年代が重なるのでそのオーケストラのことかもしれません。

 

この「ボレロ」は、特に何かをしていることを感じない、楽譜をそのまま音にしたような演奏です。

 

それでもそれなりに盛り上がるのは、ラヴェルの腕でしょう。

 

プティジラールの「ボレロ」で面白いのは、このアルバムではなくショート・ムービーです。

 

「髪結いの亭主」で知られるフランスのパトリス・ルコント監督が作った「パトリス・ルコントのボレロ」という短い映画です。

 

単調なリズムをたたき続ける小太鼓奏者の表情がメインになった映画です。

 

小太鼓奏者には、フランスの喜劇俳優ジャック・ヴィルレが扮していて、ティンパニの音でびっくりしたり、同じリズムをたたき飽きた表情や、カメラに気づいたときの表情など、実に面白い映像になっています。

 

ネットで検索すればすぐに見つかるはずなので、興味がある方はご覧ください。

 

 

 

 

 

 

34日に読響のコンサートを聴いてきました。

 

 

プログラムは次の通り。

 

<前半>

ビゼー:「カルメン」組曲より

ファリャ:「三角帽子」第2組曲

アンコール

タレガ:アルハンブラの想い出

 

<後半>

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲

ラヴェル:ボレロ

 

指揮:ユージン・ツィガーン

ギター:朴 葵姫

読売日本交響楽団

 

朴葵姫さんの演奏は、2月26日に奥村愛さんとのコンサートで聴いたばかりです。

 

今回は、名曲「アランフェス協奏曲」です。

 

ここでもギターの音の拡声用に、イクリプスのスピーカーを使っていて、大ホールの後ろの方の席でしたが、出だしのラスゲアードはしっかり聴こえて来ました。

 

朴葵姫さんは緊張していたのかもしれませんが、満員の聴衆を前にしてなかなかの貫禄です。

 

有名な第2楽章の演奏は素晴らしく、そっと涙を拭いている人も見られました。

 

しかし。。。

 

オーケストラが少し音量を上げると、ギターの音がまったく聴こえない。

 

曲を知っているので、頭で補うことはできましたが、とにかく聴こえない。

 

しかもそんな部分は、音が目まぐるしく動き、技巧的にも難しい部分なのが悲しいところです。

 

これは朴葵姫さんの演奏だけでなく、多くの「アランフェス」の演奏会で経験しています。

 

アンプで拡声するのに抵抗があるギタリストは多いのかもしれませんが、聴こえなければ始まりません。

 

CDではバランスをとって録音しているはずで、そんなバランスのアランフェスに慣れている人が多いでしょうから、多少のギターらしい音は犠牲にしても、しっかりギターが聞こえるアランフェスのコンサートを聴いてみたいものです。

 

アンコールに応えて演奏したアルハンブラの想い出は、しっかりとホールに響いていたので、決して朴葵姫さんの音量が小さいわけではないはずです。

 

 

最後は、「ボレロ」!

 

編成が一気に大きくなります。

 

小太鼓は、ティンパニーの前で、指揮者の正面です。

 

もう一台の小太鼓は、左後部に配置されています。

 

この曲の要である小太鼓をどこに置くかというのも、ライブでの「ボレロ」の楽しみの一つです。

 

読響はパワーがあるオーケストラで、じわじわと音量を上げていきます。

 

この曲の難所であるトロンボーンは、出だしでわずかに乱れたものの、フレーズの最後でグイッと音量を上げて次にバトンタッチしたのは見事でした。

 

トロンボーンのソロが終わると、ここから音量が上がります。

 

「おお、けっこうな音量になったな」と思ってよく見たら、まだ絃楽器群はピチカート奏法。

 

ここからは、第1ヴァイオリンが旋律を奏で、第2ヴァイオリン、ビオラと続いて音量を上げていきます。

 

弦楽器群が全て加わると相当な音量になっているはずですが、まだ金管楽器の半分くらいは待機状態。

 

恐るべし、「ボレロ」!

 

そして金管楽器のともう一台の小太鼓が加わり、ここからはもう大きな音は出ないだろうと思ってよく見ると、チューバ、大太鼓、ドラなどの爆音系の奏者はまだ着席状態です。

 

うーむ。

 

爆音系楽器奏者は最後の数十秒で立ち上がり、すべての楽器が最大音量を出して、曲は大崩壊して終ります。

 

まったくすごい曲です。

 

プログラムには、この曲についてのラヴェルのコメントが書かれていました。

 

要約すると、次のような内容です。

 

「誤解しないで欲しいが、この曲は実験的な試みをしただけの曲で、再弱音から最強音までひたすらクレッシェンドするだけだし、メロディーもたいしたものではなく、技巧を凝らしたわけでもない。」

 

要は「たいした曲じゃあないよ」という内容ですが、これは完全にこの曲の効果に対するラヴェルの自信の表れでしょう。

 

小学生や中学生時代に、ぜひ、音楽教育の一つとしてこの曲の生演奏を体験させてほしいものです。

 

クラシック好きがもっと増えるに違いありません。

 

あ、だめだ。

 

そうなると、なかなかチケットが買えなくなってしまいますね。

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ロリン・マゼール揮 
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 13分05秒
録音:1971年6月 アビーロード第1スタジオ WPCS-12675

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 マゼールとニュー・フィルハーモニア管弦楽団の「ボレロ」は、最速と言われています。

 

手元には100を越える「ボレロ」の録音がありますが、確かにその中では最速です。

 

遅いボレロと比べると、5分以上の開きがあります。

 

最速と言ってもせかせかした感じはなくて、推進力のあるテンポに、各ソロ楽器が名人芸を披露しながらトロンボーンまでつなぐ前半は、飽きさせません。

 

録音もなかなか良くて、楽器の位置が良くわかります。

 

トロンボーンのソロが終わると少しずつ楽器が増えていきます。

 

音量を上げて次につなぐフレーズ間の2小節は、見事な効果をあげています。

 

この辺りをじっくり聞くと、たいした事をしなくても感動を生む仕組みの「ボレロ」に対して、マゼールは、かなり細かい指示を出している事を感じさせます。

 

最後の転調部分でテンポを揺らすスタイルは、後の2回の録音で顕著になりますが、この録音でも控えめにやっています。

 

一定リズムを刻んできて、最後にテンポを揺らしてしまうと、オーケストラはガタガタに崩れる可能性があります。

 

効果的な演出だと思うのですが、それをやっている演奏は多くはありません。

 

これを超速の「ボレロ」でやっているマゼールのバトンテクニックはさすがです。

 

クライマックスに向かっての盛り上げ方は、特に素晴らしくて興奮します。

 

コンサートで「ボレロ」を聴いた事がある方は、オーケストラのメンバー全員が波打つように揺れながら演奏している様を思い浮かべながら聴くことをお勧めします。

 

抑えきれない感動を味わえるはずです。