鶯谷というのは不思議な場所です。
駅の西側は、お寺が多く、谷中霊園は桜の名所です。
東側はホテル街で、昼間でも通り抜けるのに躊躇します。
上野の河童橋近くに撮影用スタジオを構えていた頃は、日暮里のオフィスから最短経路に鶯谷があるので、よく自転車で走り抜けていました。
とてもディープなエリアですが、酒飲みには魅力的な店が点在しています。
駅前の通りには、信濃路をはじめ、気楽に飲める居酒屋が並んでいます。
南口には、「ささのや」、「かぶら屋」などの串焼き屋があり、焼き鳥が1本90円の「ささのや」は、仕事帰りのサラリーマンが、しあわせそうに一杯やっています。
私の場合、オフィスに戻るとき上野方面からの移動になる時は、「ささのや」の焼き鳥をビールで流し込んで、次は「かぶら屋」に移動してゆっくりするのが一つのパターンになっています。
その日もその流れにするつもりでしたが、2軒目は開拓する事にしました。
すぐに目に付いたのは、スコッチ専門店の「安曇野」さん。
運良く10センチほどドアが開いていて、奥にマスターが座っているのが見えました。
お客はゼロ。
かなり入り難く、隙間からのぞいて立ち去る人が数人いました。
よし!
意を決してドアを開けました。
ドアの向こうには、目眩く世界が広がっていました。
席の後ろの壁面も含めて、至る所にウイスキーが並んでいます。
いきなりマスターとの会話が始まり、注文しないまま20分ほどが過ぎました。
一杯目に注文したのは、「アランモルト10年」のストレート。
飲み始めた頃、センスの良い雰囲気のカップルが店に入って来ました。
2人ともウィスキー好きらしく、マスターを交えてウィスキー談義で楽しい時間が始まりました。
2杯目は、以前から気になっていた、台湾の「カバラン」のシェリーカスクを注文。
マスターのおすすめで、ロックにしました。
ロックは、ゆっくり飲むと、氷が溶けるにつれて、色々な表情の味を楽しめます。
「カバラン」のシェリーカスクは、かなり甘味があり、つまみ無しでも楽しめます。
これは手元に置いておきたい1本です。
おそらく1万円くらいでしょうか。
2杯とチャージで3300円。
およそ2時間の良い時間を過ごすことが出来ました。