ショスタコーヴィチは、クラシック音楽をあまり聴かない方からすると、とっつきにくい作曲家の一人かもしれません。
実はショスタコーヴィチは、映画音楽をたくさん作曲していて、約40本の作品を残しています。
手元に映画「馬あぶ」の音楽を組曲としたCDがあります。
「馬あぶ」とはなんとも妙な題名です。
イタリアの統一運動時代を舞台にした映画です。
ショスタコーヴィチが、この映画のために書いた音楽は、親しみやすさ抜群で、素晴らしく美しい音楽ばかりです。
CDの組曲は、L.アトゥミアンの編曲で、序曲から始まり、終曲で終わる12曲からなります。
3曲目の「祭日」は、題名の通り、楽しい気分にれる軽快な曲です。
7曲目の「序奏(前奏曲)」は甘美な曲で、ギターのジョン・ウィリアムスが、ティモシー・ケインとのデュエット・アルバム「月とカマキリ」の最後の曲として選んでいます。
この作曲者がショスタコーヴィチだと知って、大変驚きました。
この曲に限ると、アトゥミアンの編曲よりも、ギターのデュエットの演奏の方が、曲の美しさがよくわかると思います。
ネットで「馬あぶ」で動画検索して出てくるのは第7曲ではなく、第8曲の「ロマンス」が多いようです。
これも大変美しい曲で、ヴァイオリンなどの弦楽器で弾きたくなる気持ちがよくわかります。
11曲の「情景」は、チャイコフスキーの「白鳥の湖」の「情景」か?と思わせるメロディーが続きます。
同じアルバムに収録されている「組曲五日五夜」の「ドレスデン開放」には、ベートーヴェンの「歓喜の歌」が登場するし、ロッシーニの「序曲ウィリアムテル」のモチーフが飛び出す交響曲(第15番)もあるので、「情景」が「白鳥の湖」っぽいのは確信犯かもしれません。
ショスタコーヴィチの手がけた映画音楽を、全部聴いてみたいものです。
これをやってくれるレーベルがあるとすれば、おそらく幾つもの網羅企画をやっている「ナクソス」でしょう。
ナクソス頑張れ!