江口寿史さんの作品展を観るために、九段下から歩いて10分くらいの所にあるイタリア文化会館に行って来ました。
江口寿史さんのイラストが好きで、前回は昨年の12月に、千葉県立美術館のイラストレーション展に2回行ってきました。
このイラストレーション展のために描かれた上の様な大きな作品があって、これは江口さんの代表作(下の写真)に迫る傑作だと感じました。
この作品は、江口さんの作品展のチラシの表として良く使われているもので、しぐさが無く、真正面を見ているだけの構図ですが、少ない線で女性の魅力を表現している点で、やっぱり最高傑作だと思います。
イタリア文化会館は、1階がイベント用のスペースになっていて、イタリアのコミックアーティストであるルカ・ティエリさんとの共同展でした。
お二人は東京で出会い、お互いに共感、共鳴したそうです。
私の感じ方としては、江口さんは女性の可愛らしさ、美しさ、女性特有のしぐさを、少ない線で「リアル」に表現していて、ルカ・ティエリさんの作品は、リアルさ部分は無くて、「しぐさ」をポップに表現している印象を受けました。
展示している作品は多くな無かったのですが、私が江口さんに興味を持つきっかけになって購入した「私釈魚籃観音図之図」があることに少し驚きました。
購入した作品はオフィスに飾ってあります。
この絵は、葛飾北斎が描いた魚籃観音図がもとになっています。
江口さんの作品は、北斎の多くの作品に見られる藍の使い方が見事です。
展示スペースには江口さんの本や、イラストが使われているCDが展示してあって、持っていないCD3枚を見つけ、早速amazonで注文しました。
江口さんの大ファンなので、ここ数年で、江口さん関係の色々なものがたくさん手元に集まりました。
でも、江口さんの作品であれば、何でも集めているわけではありません。
ずっと思っていることがあって、女性の横顔を描いた作品からは、どうしても正面から見たときの「瞳」と同じ魅力を感じないのです。
例えば、次の2つの作品は、おそらく同じ女性を描いたものだと思いますが、横からの絵にはあまり魅力を感じないのです。
とくに右目に違和感があります。
上の2枚が同じ女性を描いている様には見えないのです。
眼球が顔の上になくて、背景と重なる場合の目の表現は難しいのかもしれません。
意識した事は無いのですが、実際の人間の写真の場合はどうなるのでしょうか?
また正面からの絵は、照明を強く当てて白で飛ばしたように鼻のラインが見えなくなっているのに対して、横からの絵は、鼻のラインや唇のラインが立体的にはっきりしている事が、違和感に繋がっているのかもしれません。
江口さんのイラストレーションがあれば、足を運びたくなるのは、これまでとは違う、魅力的な横顔に出会えるかもしれないという気持ちが大きいのです。