文京区のシビックホールでは、夜クラシックと言うシリーズの演奏会が年に数回行なわれています。
シビックホールは地下鉄の春日駅から直結していて、開演は19:30、演奏時間は90分、料金も通常より安い(今回はS席が3,000円)ので、仕事帰りにも行きやすい企画です。
今回は川久保賜紀 さんと村治奏一さんの競演。
同じ楽器の組み合わせでは、2月16日の夜クラッシックのとき奥村愛さんと朴葵姫さんの演奏で聴いて、なかなか楽しかったので期待して会場に向かいました。
この日は、次のようなプログラムでした。
<前半>
月の光(ドビュッシー)
ニュー・シネマ・パラダイス(モリコーネ)
カンタービレOp.17(パガニーニ)
協奏的ソナタ イ長調Op.61 MS2(パガニーニ)
<後半>
ルーマニア民族舞曲(バルトーク)
オブリビオン(ピアソラ)
タンゴの歴史(ピアソラ)
<アンコール>
スペイン舞曲より「ホタ」(ファリャ)
夜クラシックではドビュッシーの月の光が共通テーマになっていて、どの回でも1曲目はこの曲から始まります。
奥村愛さんの時と同じく、会場を真っ暗にした状態からスタート。
使ってた機材はわかりませんでしたが、村治奏一さんも朴葵姫さんと同じくスピーカーを椅子の下に置き、わずかに拡声していたようで、ヴァイオリンとの音量バランスはしっかり取れていました。
パガニーニはヴァイオリンの鬼才ですが、20歳前の数年間はギター曲を残してくれています。
その頃の恋人がギターを弾いていたからでしょうが、そうした二人が演奏するために書かれたと思って聴くと、なんだか心が温まる優しく美しく楽しい曲です。
協奏的ソナタはヴァイオリンとギターが対等に書かれた技巧的な曲で、聴衆よりも弾く側にまわるとさぞかし面白いだろうと思わせました。
ニュー・シネマ・パラダイスは、いつ聴いてもぐっと来ますし、天才モリコーネを感じます。
モリコーネの音楽が無かったら、あの映画は今のように愛されたでしょうか。
モリコーネと同じくいつ聴いても天才を感じさせるのは、ピアソラです。
どうしてああいった斬新な曲を作れたのか、聴くたびに驚かされる斬新さがあります。
川久保賜紀 さんの生演奏は初めて聴きましたが、美音に加えて音に重みがあり、特に弱音から強音に変化するときの迫力は見事でした。
村治奏一さんの演奏は、ギターの良さ、それはなんと言っても「音色」にあるわけですが、曲想に応じて音色を使い分けているのが良くわかりました。
プログラム外として弾いてくれた「アルハンブラの想い出」に会場は盛り上がりました。楽譜をちょっといじっていたようですね。
できればもっと狭いホールで、バッハを聴いてみたい気がしました。あるいは、お姉さんの佳織さんとのデュエットとか。
奥村愛さんと朴葵姫さんのコンサートで真っ先に思い出してしまうのは、奥村愛さんがアンコールの曲用の楽譜を楽屋に忘れてあとから登場したことですが、なんと、今回も村治奏一さんも楽譜を忘れて出てきてしまうというハプニングがありました。
今回も、いい一夜を過ごすことができました。