深夜、静かな音楽が聴きたくて、あれこれ悩んでから、フォーレの「レクイエム」を選びました。
カルロ・マリア・ジュリーニの指揮するアルバムです。
ジュリーニ盤は、愛聴盤にしている方も多いようですが、一方で苦手とする方もいるようです。
意見が分かれるのは、キャスリーン・バトルのヴィブラートをかけた歌い方。
オペラじゃあないんだから、ヴィブラートはないんじゃないんの、ということみたいですね。
音楽的、時代的背景にこだわる事は、クラッシク音楽の楽しみ方として面白い世界なので、それもあっていい事だと思います。
私は音楽的背景や時代背景にこだわった聴き方をするほうではないし、バトルがギターのパーク二ングと共演したアルバムを聴いて以来、バトルのファンなので、いいなあと思いながら聴いていました。
ジュリーニ盤は、彼の他のアルバム同様、音楽を噛みしめるように丁寧にゆっくりと演奏されている事に加え、アンドレアス・シュタイナーのしっかりとした歌声も魅力です。
最後まで聴き終えて、名盤と言われるコルボ指揮のアルバムを取り出してみました。
こちらはソプラノをボーイ・ソプラノで演じていて、独特の美しさと静けさがあります。
やはりこの曲の名盤と言われるだけあって、あらゆる部分で美しさを感じる演奏です。
コルボ盤を聴き終えた後、モーツァルトの「レクイエム」を取り出して聴いてみました。
これも、超名曲ですが、深夜には向かないと思いました。
フォーレに比べて、音楽がドラマチックなのです。
モーツァルトが天国に加えて地獄が入っているとすれば、フォーレは天国だけを描いていると言えば、イメージが伝わるでしょうか。
「怒りの日」の扱い方だけを見ても、フォーレが静けさを軸としたレクイエムにしたかったことが想像できます。