血液検査のために朝食を抜いて病院に行き、そのあとで上野公園の穴場スポットである無料のオープンテラスに陣取り、急ぎのメールの対応をしていました。
日向に出ると暑いけれど、木陰にいると、風がさわやかです。
上野から日暮里のオフィスまでは、寄り道しないで歩くと30分もかからないので、運動不足の解消もかねて、週に1~2回くらいは歩きます。
この日は、ちょっと迂回してみようと、精養軒の前を通り、忍不池側に下りて、根津方面に向かいました。
上野から西日暮里に広がるエリアは、細い路地が多く、「こっちにいくとどうなるんだろう」的なノリで歩くと、いろいろな発見が有ります。
うどんで有名な「釜竹」が見えた頃には、もうお昼になっていました。
どこかで食べなくては、と思ったときに目にとまったのが、このお店「魚善」。
なんだか敷居が高そうです。
外に出されたメニューを見ると、お刺身定食が1080円。
ランチにしてはちょっと高いけれど、こういうお店は、ランチで利用して様子を見ないとなかなか入れません。
「よし!」
玄関を入るとすぐに靴を脱ぐようになっていて、二階に通されました。
二階は和室でした。
奥まで続く広い和室に椅子とテーブルが余裕を持って配置され、窓から入る光の加減もあって、実にいい雰囲気です。
(こんな席が広い二階に余裕をもって並べられています)
メニューを見せてもらうと、会席料理のお店でした。
夜は、4500円から20000円までのコースがあるようです。
うーむ、20000円かあ。
こういうお店で、1080円の定食って、いったいどんなのだろう?
出てきたのがこちら。
(肝心のお刺身がフレームから外れてしまった・・・)
お刺身はトロが入った3種盛り。
写真では見えませんが、茗荷の千切りがお刺身を支えています。
湯葉で巻いた一品は大変に凝ったもの。
漬物も小さな皿に数種類。
こだわりのご飯と、手をかけたことがわかるいくつかの具が入ったお吸い物。
確かお米は佐渡って言ってたような。。。
ということは「朱鷺と暮らす郷」?
数年前に佐渡に行った時、佐渡では、農薬などは使わず、自然の生き物も生息でき、朱鷺が暮らせるように考えたお米の育て方をしていることを聞きました。
味はどれも美味!
特にお刺身の新鮮さは素晴らしく、トロは口の中で溶けました。
夜だったいくらになるんでしょう?
うーむ、お酒が。。。
ということで、一応お酒のメニューを見せていただくと、こだわりの日本酒が並んでいました。
でも、まだお昼だし、これから仕事ですから、さすがに日本酒はまずいだろう、ということでぐっと我慢。
おかみさんと話をすると、やはりこの定食は、リピートしてもらうためのサービスメニューだということでした。
確かに、また来なくちゃ、と思わされましたから、思惑通りということですね。
満足感たっぷりで店を出たあと、美術品関係の仕事が発生するかもしれないので、通り道にあった美術商を覗きました。
ご主人からいろいろ古美術についての話を聞かせていただいてから、オフィスに戻りました。
美術商は敷居が高くてなかなか入れません。
「魚善」も含めて、1日で高い敷居を2つまたいだ、ということになりました。
「今日はちょっと贅沢なランチをしてしまったかな」という気持ちのまま夕食の時間。
1080円ですから、そんなに言うほど贅沢したわけでもないのでしょうけれど、そう思わせるのは、あのお店の雰囲気があったからだと思います。
ということで、夜は、ゆでたまご1個とトースト2枚。
まるで朝食ですね。
まあ、何事も平均的な選択をして生きるより、落差大きい選択をしたほうが、生きている実感がするものです。