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エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 15分21秒
録音:1958年6月30日 アムステルダム、コンセルトヘボウ
DECCA PROC-1939 (タワーレコード発売)
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エドゥアルト・ファン・ベイヌムという指揮者について再認識させられたのがこの「ボレロ」です。
ベイヌムは、1901年に生まれ、1959年に亡くなったオランダの指揮者です。
57歳というのは、今から考えると、早すぎる死でした。
情感たっぷりに演奏したメンゲルベルクのあとを受け継いで、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を率いたベイヌムは、新古典主義的な風をオーケストラに吹き込みながらも、形式主義的な冷たさにはならなかった指揮者と言われています。
この「ボレロ」を聴いてすぐに感じるのは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の上手さと、なんともいえない音色です。
このオーケストラの「音」のファンが多いのは頷けます。
リズムの刻み方の安定度と丁寧さはすばらしく、リズムセクションだけに耳を傾けても楽しめます。
コントラバス、テンパニの低音域をささえるリズムは、最後まで抜群の安定感で音楽を支えます。
おなじみのホルン、チェレスタ、ピッコロの部分は、豊かな音で楽器が調和します。
楽器間の音量のバランスが絶妙なのです。
当然、指揮者が指示を出しているのでしょうが、演奏者がお互いの音を聴きながらバランスをとっているような、室内楽的なアンサンブルです。
なんというか、ごちゃついた感じがほとんどないのです。
トロンボーンのソロも、まったく不安なし。
弦も美しい。
コンセルトヘボウ管弦楽団の絶頂期と言ってもいいのではないでしょうか。
音量が上がっても、各パートが明確に聴こえてきます。
トロンボーンのグリッサンドも鮮明です。
1958年の録音ですが、ハイビットサンプリングをしたマスターを使っているせいか、音も古さは感じません。
正直なところ、ベイヌムはもっと古めかしい演奏をするのかと思っていましたが、暖かさのあるスタイルッシュな演奏には参ってしまいました。
ベイヌムの「シェヘラザード」もすごいらしいので、ぜひとも聴きたいものです。