フライングモールのデジタルアンプCA-S10で数年音楽を楽しんできました。
見通しの良い音が気に入ってはいたのですが、だいぶ前から温もりのような温度感が少し欲しくなりました。
そうなると真空管アンプだろうと、ここ1年くらいの間に、意識しながら視聴したり、ネットや雑誌で調べていました。
ユニゾンリサーチの真空管アンプは、今は亡き平田宏先生がSimply twoを使っていたこともあって、気になっていたイタリアのメーカーでした。
木をうまく使って真空管の美しさを演出しているデザインは、国内のメーカーからはなかなか出てきません。
ベネチアガラスを表面パネルに取り入れたP40は、いつか手にしてみたいアンプです。
Simply Itaryも興味があったのですが、JBLの4343Bを鳴らすには出力パワーに不安があり、見送りました。
Simply Itaryは、質の良い中型サイズのブックシェルフ、たとえばハーベスや、もう少し小型のロジャースと組み合わせて聴いてみたいアンプです。
ユニゾンリサーチには、ラインナップとして、ハイブリッドアンプもあり、Unico secondoはその中の一つです。
入力段には、12AX7という真空管を2本使い、出力段にはMOSデバイスを使って100W×2の出力を稼いでいます。
パネルには、大きなつまみ2つと、赤外線リモコンの受信窓と、ユニゾンリサーチの特長である、木を使ったロゴがあしらわれているとだけという、シンプルなデザインです。
木は、リモコン部にも使われています。
このようなリモコンも、国内のメーカーからは出てきそうもありません。
入力セレクターには、phonoもありますが、アナログ・プレーヤーを直接つなぐことができるモデルと、そうでないモデルがあります。
本体内部にphonoイコライザーの基板を入れる部分があって、私のモデルには入っていません。
ライン入力になっているphono端子に、外部phonoイコライザーを接続することになります。
phonoイコライザーを選ぶという楽しみが残されているので、このほうが面白そうです。
真空管アンプは、電源を入れたあとに、真空管が温まるまで待たなければなりません。
Unico secondoは、側面の電源を入れると2つのLEDが点滅を始め、30秒たつと点滅が止まり、音楽を再生できる状態になります。
ここから10分ほど経ったあたりからアンプの能力が全開になるらしく、音楽再生までにはちょっと待ち時間が必要になるわけです。
真空管アンプに慣れている人にとっては何でもないことですが、そうでない人にとっては、これだけで選択肢から外れるかもしれません。
片チャンネル4つあるスピーカー端子は、スピーカー切り替えのためではなく、バイワイヤー接続用です。
バイワイヤーにしてみたい気もするのですが、私の場合、音楽に応じて3組のスピーカーを切り替えているので、これはあきらめました。
肝心の音です。
まずはマーチンローガンで聴いてみました。
高音の解像度に不満があったマーチンローガンが、くっきりとした高音を出してくれたので、ちょっと驚きました。
コンデンサー型であるマーチンローガンは、他にはあまり無い独特な音場をつくるスピーカーです。
スピーカーの存在を忘れるような、面の音場をつくり、心地よい再生音が特長です。
楽器の定位もピンポイントではなく、あの辺りにギターがいるなということが、ある程度の面積をもってわかるイメージです。
そこに楽器があるというより、そこに演奏者がいる、という雰囲気が感じられます。
オーディオ再生という意味ではいろいろ弱点はあるかもしれませんが、比較的小編成による音楽を、心地よく楽しむということでは、かなり優秀なスピーカーだと思っています。
フライングモールのCA-S10との組み合わせでは、小音量時の押し出しの弱さが難点でした。
Unico secondoでは、この点が大きく変わりました。
ボーカルや小編成の室内楽曲、器楽曲の再生では艶が出て、コンサート会場にいるような気分を楽しめるようになりました。
100W+100W出力の余裕なのかもしれません。
Unico secondoによって、マーチンローガンはますます手放せなくなったと同時に、さらに大型のモノリスあたりを聴いてみたくなりました。