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佐渡裕指揮 コンセール・ラムルー管弦楽団 14分58秒
録音:1999年3月1-3日 パリ、サル・ワグラム
エラート WPCS-22148
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コンセール・ラムルー管弦楽団は、ラヴェル自身が指揮棒をとって「ボレロ」を録音したフランスのオーケストラです。


私が佐渡氏の名前から思い浮かべるのはエネルギッシュという言葉で、「ボレロ」もエネルギッシュな熱狂的ボレロを期待しました。ところが聞こえてきたのは、落ち着いたテンポのまろやかなサウンド。管楽器のソロが艶っぽく、リズムに回ったパートも丁寧に演奏しています。


音もよく、ソロの各楽器がホールに響く様子がよく聞き取れます。

最初控えめな小太鼓は、トロンボーンのソロが終わったあたりから音量を上げ主張を始めます。「ボレロ」は楽器を増やすことによって自然に音量増加ができるように仕組まれていますが、感情を高めてくれるには、どこで音量アップをするのかも重要です。


ティンパニの一発でぐいっと音量アップをして、トランペットやトロンボーンのフレーズの最後でクレッシェンドさせて次の音量アップにつなげるシャ イーや、メロディーが繰り返されるたびにオーケストラ全体で音量を上げ、いったいどこまで音量が増加するのか怖くなるプレヴィンには興奮させられます。


佐渡氏の演奏では、トランペットが音量アップのきっかけを作っているような個所もありますが、基本的には、メロディーが繰り返されるたびに音量が増加していきます。曲の始まりと同じように、奇をてらわずに自然にクライマックスに進みます。


ちょっと爆裂系の「ボレロ」を期待していたのでその点では期待が外れましたが、コンセール・ラムルーというラヴェルゆかりの伝統を意識したような香り高い「ボレロ」になっています。