先生は、ご自身のレパートリーとしては、ほとんどバリオスを弾いていなかったと思います。


そういう点では好き嫌いのはっきりした方でした。たとえばブローウェルは弾いたのを見たことがありません。必然的に、レッスン曲はセゴビアレパートリーの域から出ないものでしたが、セゴビアの演奏した曲はギターのよさを伝えるものであったし、また先生の得意とする曲をレッスンしていただくことこそが平田先生のレッスンを受ける意味があることだと考えていたので、不満はありませんでした。

このバリオスは新人賞選考会(今のクラシカルギターコンクール)の課題曲になったためにレッスンで取り上げていただいた曲です。


運指を変え、音色の変化をつけていったのですが、先生には珍しく、数箇所を弾きやすい運指に変えていったことが意外でした。


先生は何よりも音色を大切にされる方で、そのために多少難しい運指になることが多かったのです。


このバリオスについては数箇所をローポジションの運指に変えたのですが、その結果流れの良い音楽になりました。

具体的なことをいくつか。


・1小節、2小節目は5ポジで取りました。
・3小節、11小節、47小節の装飾的ポルタメントははずしました。
・25小節から31小節まではミを中心に1、2弦でメロディーをとり弾き易くしています。
・52小節はベースのラを6弦でとった5ポジのセーハで取り、順にポジションが下降するような運指にしました。
・52小節の最高音のラをハーモニクスに変え、55小節のハーモニクスのレを実音に変え、統一感を持たせました。

大抵の曲は1,2ケ月頑張ってやっとOKが出るのですが、この曲は僕と相性が良かったのか、めずらしく2回のレッスンでOKだったことが印象に残っています。

(記:2002年9月8日)


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