恋沼さんの体験記を手に入れてから、小屋を建ててみようと決心をしたものの、まず土地をどうやって探したらいいかわかりません。そもそも、いくらくらいするのかさえ、検討もつきませんでした。
なんとなく想像がついたのは、正攻法、つまり別荘地に行って、そこで分譲地を買うのは金銭的に無理だろう、ということでした。
そこで、書店の本棚を探すと見つかったのが、「リゾート物件情報」(白馬ライフ)という月刊情報誌。
100万円くらいからの物件がたくさん紹介されていました。
夢の実現に一歩近づいた気がしました。
その雑誌から候補をいくつか選び、池袋にあった白馬ライフに行き、詳細情報を手に入れました。
次は現地調査、ということになるわけですが、その当時、私は車を持っていませんでした。というより、運転免許すら持っていませんでした。
手段は自転車しかありません。
自転車をたたんで電車に載せ、最寄り駅で組み立てて現地まで走る、というパターンです。そうして、富士山周辺、千曲川周辺、浅間山周辺を走り回りました。
たいていが山なので、峠を越えるのはなかなか大変です。
それでも富士山周辺からは八王子あたりまで、浅間山周辺からは、吾妻渓谷側を走ると、高崎あたりまで下りが多いので、帰りは楽しみでした。
当時は自転車に凝っていました。
この自転車で1回だけ、「雪印スノウカップ」という
アマチュアのロードレースに挑戦しました。
若かったんだなあ。
北軽井沢の物件も、軽井沢側から行くと峠を一つ越えなければなりません。
中軽井沢駅で自転車を組み立てて、峠を目指して走り始めました。追い抜く車の窓からは、「がんばれー!」という声が何度もかけられました。
そういうことが普通にあった時代でした。
やっとの思いで峰の茶屋にたどり着き、そこからは物件まで一気に下り。早く土地が見たくて、汗びっしょりになりながら、全速力で飛ばしました。
20分くらいで着くはずが、いくら走ってもそれらしい場所にたどり着きません。
1時間ほど走ったところで小さなお店があったので、飛び込んで聞いてみると、どうも分岐点を間違えて、かなり下ってきたことがわかりました。
・・・ショックでした。
そのときは、もう4時を過ぎていたので、今から引き返すのは無理そうです。今日は、第一候補の物件が含まれていたので、あきらめ切れない思いでした。
よほどがっくりとした様子に見えたのか、店の旦那さんの口から、信じられないことばが出ました。
「乗っけていこうか?」
「えっ?」
「うん。このあたりは詳しいからすぐにわかるよ。まだ時間があるなら、案内してあげるよ。」
旦那さんの言葉に、甘えることにしました。
「まあ、お茶でも飲んで休んでからにしなさい」
というおばあちゃんの言葉にも甘え、居間で熱いお茶と、美味しい漬物をご馳走になりました。
昼食も抜きで無我夢中で走っていたので、出されたお皿一杯の漬物をたいらげ、元気を取り戻してから、軽トラックで物件に向かいました。
(つづく・・・)
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