夢は実現するものだ!

 ノミや金槌を振っていると、いろいろなことを考える。それはなぜか、これまで考えもしなかった夢だろうと思っていたようなことが多い。小屋は小さくても、この経験がベースとなって夢がどんどん膨らんでいくのである。そしてそれはいつか実現できる気がするから不思議である。


 浅間の小屋を建て始めた数年後、栃木県の今市に土地を購入した。バックミンスター・フラー博士の考案したドームハウスを建てようとしたのだ。そこは『セピア・ホール』と名前をつけ、若い音楽家を呼び、コンサートを企画していきたいと考えたのだ。蓄音機でSPレコードを聞くと、まわりがセピア色になるような気がして、幸せな気分になる。そういうコンサートを自分で建てたドームハウスで企画できたらと考えてつけた名前だ。結局その土地は、私道のトラブルに巻き込まれ、そんなトラブルのある場所でコンサートを企画するのも嫌だったので、間もなく手放してしまった。しかし、土地を手にしたとき、確実に夢に一歩近づいたことを感じていたのだ。

 さらに数年後、神奈川県横須賀市の海に隣接した場所にマンションを購入した。そして間もなく、そのマンションのロビーを借りて、夢だったコンサートが実現しようとしている。

 『夢=絵空事』と考えている人が多い。これはちょっと違うと思う。いつもそのことを忘れずに考え続け、少しでも近づこうと努力すれば、いつかかなえられることを『夢』と言うのだと思う。小さな小屋だけれど、夢の第一歩として、まず四坪の小屋からスタートしてみてはいかがだろうか。