本格的に冬らしくなりましたね。
当院の前の遊歩道にある百日紅(サルスベリ)も、
この時期になると園芸業者さんが来て剪定をしてもらっています。
before(8月ごろ)
after(本日)
百日紅の名に恥じないくらいのツルツルの木になりました。
ツルツルの百日紅を見ると「あ~、冬になったんだな。」と実感します。
さて、少し間が開いてしまいましたが、腎不全(腎機能障害)のお話の続きです。
腎不全は血液検査で異常が出た時には、すでに腎臓内の濾過フィルターの66%以上がだめになってしまって、腎不全の中期から末期に近い状態になってしまっているとは前回のお話でさせてもらったと思います。
では、もう少し早い段階で腎不全を診断できないのでしょうか?
腎不全の早期診断に役に立つ可能性がある検査があります。
それは、尿検査です。
尿検査の項目の中で、尿比重という項目があります。
尿比重というのは、尿の重さのことです。
同じ量の水と尿の重さを比較したときに、水と比べてどれくらい尿が重くなっているかを測定します。
水の比重を1.000としたときに、通常のワンちゃんであれば1.015~1.050程度になる。猫ちゃんでは1.015~1.060くらいといわれています。
もちろん、検査前にたくさん水を飲んでいたり、絶水状態であったりで比重の値が前後するので、一回の検査だけで診断できるわけではありません。
異常な数値が出た場合には数回再検査が必要となります。
数回検査をしても尿比重が基準値を下回っていたり、基準値の中の低い数値のままであった場合には、腎機能の低下を疑います。
そのほかにも、レントゲンや超音波診断器(エコー)で大きさや形の異常、内部構造の変化を見ることで、異常を発見することが可能です。
次に、腎不全の症状についてお話します。
腎臓内の濾過フィルターが33%以下になってくると、さまざまな症状が出てきます。
一般的には食欲不振や嘔吐が原因で来院されることが多いです。
食欲不振や嘔吐が出ているときはおそらく濾過フィルターは25%を下回っていることが多いです。
また、体重の減少や尿量の変化(増加や低下)、貧血も認められることがあります。
さらに症状が進行して濾過フィルターが10%以下になるとと、いわゆる尿毒症状態になり、激しい嘔吐や下痢、尿毒症による発作、こん睡状態となります。
このように、腎不全は症状が進行するに従ってQOL(生活の質)を著しく損なうことが多い病気です。
できるだけ症状の進行を抑えることが、治療のポイントになります。
次回は治療についてお話したいと思います。