めっきり寒くなりましたね。

数週間ブログの更新をさぼりました。

ここ数週間重症のワンちゃんや猫ちゃんの入院が続いていたため、そちらの治療に専念していたため、ゆっくりとブログを書く時間がありませんでした。

やはり季節の変わり目はいろいろな病息が悪化することが多いようです。


さて、本日は誤食のお話をしてみようと思います。


誤食、読んで字のごとく「誤って食べてしまう」ことです。

似た言葉に誤嚥、誤飲などがあります。


どれも、簡単にいえば、食べちゃいけないものを口に入れて飲みこんでしまうことです。


さて、私も獣医師として10年弱、短いながらもワンちゃんや猫ちゃんなどの健康を預かる仕事をさせていただいています。

その臨床経験の中で

「え?こんな物食べちゃうの?!」的なものもたくさんありました。


実際にあった事例を紹介しつつ、誤食をしてしまった時の対応についてお話をしたいと思います。


高い1円玉


勤務医をしていた当時に担当させていただいたワンちゃんです。

下痢と嘔吐があるとのことで来院。
もしかしたら、何か食べたかもとのこと。

レントゲンを撮ってみると・・・。

腸の中に丸い物体が・・・。

よ~く見てみると、1円玉の模様が・・・。

ご家族の方と相談したうえで、手術にて取り出すことに。

無事手術も終わり、経過も順調だったため退院となりましたが、

最後のお会計の際のご家族の方の言葉が印象的でした。

「この1円玉のために○万円かかったわけですね。高い1円玉になっちゃったな~。」

まさにその通りですね。


湿布放置禁止令


とある日の夕方、お昼ごろから何度も吐いて下痢してしまってぐったりしているというワンちゃんが、運び込まれてきました。

一通り、必要な検査をしてみると、肝臓の数値が異常に高くなっていました。

何か毒物を食べたのでは?とご家族の方に聴いてみたものの、毒物を摂ったおそれはないとのこと。

しかしながらレントゲンで胃の中に怪しげな影があったため、ご家族の方と相談の上お腹を開けてみることに。

胃の中から20×10センチくらいの茶色い布上の物体が4枚ほど摘出されました。

術後、ご家族の方に布上の物体を確認していただいたところ、

「これって、お父さんの湿布じゃない?」

そうなんです。

変色していて見た目では、全くわからなかったのですが、肩こりと腰痛持ちのお父さんが常用されている湿布薬だったんですね。

湿布薬に配合されている鎮痛消炎剤がワンちゃんにとって中毒となる薬物だったわけなんです。

数日間の入院の後、無事退院となりましたが、お父さんはご家族の皆さんにだいぶ怒られたようで、湿布放置禁止令が出たとのことです・・・。


まだまだ、いろいろなものを食べてしまったワンちゃんのお話はあるのですが、また機会があったらお話したいと思います。


では、ワンちゃんが異物誤食をしてしまった時の対応です。

食べたものにもよりますが、一般的には食べて1~2時間くらいの間であれば吐き出させることが可能なことが多いです。ただし、薬品などの化学物質の場合は吐かせることが無理な場合もあります。

また、内視鏡がある病院では麻酔をかけて内視鏡で摘出できることもあります。

異物を食べてしまったら、様子を見るのではなく、すぐにかかりつけの病院に連絡をして対処方法を相談しましょう。

また、食べてしまった物の残りや食べてしまった物と同じものがある場合は、それらを一緒に動物病院に持っていくと治療の助けとなることもありますので忘れずに持参するようにしましょう。