日本人なのであまり海外のイベント事に熱くなるのはいかがなものかと思いつつ、ハロウィンが近いですね。
センター南の駅付近をウロウロしていると、さまざまなハロウィン的な飾り付けがされていて、あ~秋なんだなと実感します。
当院も控えめにハロウィンぽい飾り付けをしてみました。
手芸がお得意なママさんに作っていただきました。
玄関マットもそれっぽく・・・。
さて、ハロウィンとは関係ないですが、本日の話題はウサギの「毛球症」についてです。
昔は「毛球症」と言っていたのですが、最近はそういう呼び方はされなくなって、
胃鬱滞(いうったい)とか、繊維不足性消化管障害なんて言うことが多いです。
今回はあえて今まで通り「毛球症」という病名でお話をしていきます。
ウサギはワンちゃんや猫ちゃんと異なり、完全な草食動物です。
草食動物というのは牧草などの植物を主食としています。
牧草などの植物は肉などの動物性の食べ物と比較すると、栄養価が格段に少ないです。
そのため、草食動物は生きていくために必要な栄養を確保するためには、沢山の牧草を必要として常に食べ続けなければなりません。
動物園にいる草食動物が常に口をモゴモゴしているのもそのためなのです。
胃や腸などの消化器も、私たち雑食の生物や肉食の生物と異なり、植物を消化できるように特殊な形態や働きをしています。
ウサギの消化器の代表的な特徴は以下の通りです。
1・胃の入り口である幽門にある幽門括約筋が発達しているため、一般的には嘔吐をしない。
2・盲腸が異常に発達していて、盲腸内で牧草などの植物を発酵している。
ウサギは一般的には嘔吐をしない動物なので、例えば毛球などが胃に詰まってしまっても猫ちゃんのように吐きだすことはできません。
そのため、毛球などが詰まってしまうと胃の中がガスと食べ物でパンパンに張ってしまうこともよくあります。
ウサギが食べた牧草や固形フードは胃や小腸を通り過ぎた後、盲腸の中ですぐに消化吸収できるものと、消化吸収に時間がかかるものを振り分けて、通常便と盲腸便を作ります。
さて、いわゆる「毛球症」のお話に戻りますが、
「毛球症」とはウサギが毛づくろいをしたときに、その毛が胃の中で固まってしまって胃が詰まってしまうために発症するものと認識されていましたが、実際に毛球症疑いのウサギの胃を開けてみると、詰まっている物は毛ではなく、牧草の繊維に固形フードのカスがからみついた物だったりすることが多いのです。
そのため、最近では「毛球症」という病名はあまり使われなくなっています。
では、なぜ、胃の中に物が詰まってしまうのでしょう。
初めにお話しした通り、ウサギさんは完全な草食動物なので、胃や腸が牧草などの植物を消化吸収する為に特殊な構造をしています。
しかし、人間と生活をしているウサギの多くが主食が固形フードになってしまっています。
もちろん固形フードにはウサギの体に合わせた繊維質やたんぱく質などを配合してあります。
しかしながら、本物の牧草などと比較すると、繊維の長さや咀嚼する回数などに大きな差が出てきてしまい、胃や腸などの消化器の動きが悪くなってしまいます。
胃や腸の動きが悪くなると、当然その中を通る牧草や固形フードの流れも悪くなってしまい、胃の中で固まってしまったりするのです。
また、飲水量が少ないと食べた物を腸に流し込む力が弱まるので、食べ物の流れが悪くなります。
固形フードを食べているウサギと牧草を食べているウサギの飲水量を比較すると、牧草を食べているウサギの方が圧倒的に多いです。
その点からも、固形フードを主食とすることによる「毛球症」のリスクが出てくるのです。
この時期ウサギは毛の生え換わりで、「毛球症」になってしまうことが多いです。
「毛球症」の予防のためにも、牧草食への切り替えをお勧めします。
また、お水をあまり飲まないウサギには、生のパイナップルジュースなどを与えると飲水量が確保できると思いますので、ぜひ挑戦してみてください。
ちなみに、生のパイナップルジュースには毛を溶かす酵素が入っているから、「毛球症」の予防になるというお話があります。
毛を溶かす酵素が本当に働いているのかは疑問がありますが、飲水量を増やすという意味では理にかなっていると思いますので、あながち無意味ではないのだと思います。
牧草にもさまざまな種類があります。
どんな牧草がいいのかなどのご相談は当院までお気軽にどうぞ。


