こんにちは。
ジメジメして、過ごしづらい毎日ですが皆さんお元気ですか。
本日は手術後に気をつけたいことについて少しお話したいと思います。
一口に手術といっても、去勢手術や避妊手術など、健康なワンちゃんや猫ちゃんに
行うものもあれば、癌の摘出手術や、骨折の整復手術など病気やけがのために行う
手術など様々あります。
本日お話させていただくのは、前者の健康な動物に行う手術についてです。
・手術当日は水や食べ物を与えない
一般的に麻酔を行う前後は絶水、絶食をしなければなりません。
というのも、麻酔薬には喉の奥にある、気管と食道の入口を振り分ける蓋の部分を
寝ぼけさせる作用があるからです。
通常、麻酔がかかっていない状態では喉の奥にある蓋が、水を飲むときは気管の入口を
塞ぎ、空気を吸うときには食道の入口を塞ぐようになっています。
そのため、私たちは通常では水を飲んでもむせることがないようにできています。
ところが、麻酔がかかった状態だと、その蓋の動きが鈍るために、水や食べ物を摂ろうと
したときに誤って気管の入口が開いてしまって、最悪の場合、気管や肺に水や食べ物が
入ってしまい肺炎を起こしてしまうリスクがあります。
また、麻酔薬の中には副作用で吐き気を催すものもあるので、吐いた物で喉が詰まって
しまうリスクを避けるためにも必要となります。
手術当日は少し可哀そうですが、水と食べ物は我慢しましょう。
・傷は舐めても治りません
子供の頃、動物は傷を舐めて治すんだ。なんてことを聞いた覚えがあります。
ところが残念ながら手術後の傷を舐めてしまうと治るのにかなり時間がかかってしまいます。
通常、手術の時にできる傷は、手術前に切る部分を殺菌作用のある洗浄液で洗浄して、
ものすごくよく切れるメスでスパッと切った傷なので、雑菌のいないとてもきれいで治り
やすい傷になっているのです。
しかし、その傷を舐めてしまうと、ワンちゃんや猫ちゃんの口の中にいる、びっくりするくらい
沢山の雑菌が傷に入り込んで、炎症を起こしたり、化膿してしまい、傷の治りを妨げて
しまいます。
また、ワンちゃんや猫ちゃんの舌はザラザラしていて、舐めることによって、きれいに
切れている傷をギザギザの傷にしてしまい、さらに傷の治りを悪くしてしまいます。
手術後は決して傷を舐めないように管理していただきことがとても大切です。
・暴れてはいけません
手術で切った傷は、ナイロンの糸などで縫い合わせています。
私たち獣医師はできるだけ傷跡が残らないように、切る前の状態に戻るように傷を
縫い合わせています。
しかしながら、手術後に暴れてしまうと、縫い合わせた部分がずれてしまったり、
無理な力がかかって傷が裂けてしまうこともあります。
縫い合わせた傷がずれてしまうと、ずれた部分が傷跡として残ってしまうことがあります。
また、傷が裂けてしまうと、最悪の場合再度麻酔をかけて縫いなおさなければならなくなります。
どちらの場合も、あまりいい結果とは言えないので、手術後は抜糸が終わるまでは過度な運動は避けていただく必要があります。
以上、必ず守っていただきたい3点についてお話させていただきました。
もちろんこの他にも、お風呂に入れてはいけない、傷を触ってはいけないなど、細々した注意点はありますので、かかりつけの先生の指示をよく聞いて、わからないことや不安なことはどんどん質問していただけるとよいと思います。
ちなみに当院での手術後のワンちゃん(テン君)の様子です。
エリザベスカラーと全身タイツ的なものを着せて、2重のガードをしています。
全身タイツがおしっこで汚れてしまったので、着替えさせようと思ったのですが、あまりに寝姿がかわいかったので、思わず激写してしまいました。
「せっかく寝てたのに、うるさいな~」と、言わんばかりの抗議を受けてしまいましたが・・・。