やっと暖かくなりましたね。

暖かいというか、暑くなりました。

春らしい天気がなく、いきなり夏になった感じです。

暑いのが嫌いな私にはつらい季節が近づいています。

今年は、節電もしていかなければならないので、団扇や扇子の需要が高まりそうですね。


前回まで、3回にわたってフィラリア症とその予防方法について書いていきました。

春になったら始めてほしい予防がもう一つあります。

ご存知の通り、ノミとマダニの予防です。


今回はノミとマダニについて書いていきます。



ソルナ動物病院-23.05.161

ノミです。

拡大して見ると、かなりグロい感じです。

宿主であるワンちゃんや猫ちゃんに寄生して、吸血します。


私が勤務医をしていた伊東市には、緑あふれる公園やアスレチックコースのようなお散歩コースがたくさんありましたので、ちょこっと散歩に出ただけでもノミをつけてくる子が多かったです。

また、野良ネコもたくさんいましたので、野良の子猫たちが保護されるシーズンになると、ノミの大量寄生によって貧血を起こして病院に運ばれてくることも多々ありました。


ノミが吸血する時にノミの唾液がワンちゃんや猫ちゃんの皮膚の中に侵入して、アレルギー性皮膚炎を起こすこともあるので、ノミに寄生されることはさまざまな病気のリスクを背負うことになるのです。


また、意外と知られていないのですが、ノミのおなかの中にはサナダムシの卵が入っています。

サナダムシとは腸の中に寄生する寄生虫です。

ワンちゃんや猫ちゃんがノミに寄生された際に、自分でノミを噛んで食べてしまうとノミのおなかにあるサナダムシの卵がワンちゃんのおなかの中に入って、寄生されてしまいます。




ソルナ動物病院-23.05.162

マダニです。

マダニもノミと同様に拡大して見ると怖い感じです。

マダニは主にワンちゃんに寄生すことが多く、ノミと同様に吸血します。


マダニは寄生された当初は数ミリくらいの大きさしかないので気がつかないこともありますが、吸血するとどんどんと大きくなって、最終的には1センチくらいの大きさいになります。

マダニが寄生しやすい部位は、鼻や口の周りや、前肢や後肢の先端などです。

草むらに鼻を突っ込んで匂いを嗅いだ時や、芝生の上で立ち止まった時などに、近くにいるマダニがワンちゃんに寄生するのです。


また、マダニは強力な顎の力で宿主にかみついて吸血するので、寄生したマダニを無理やり引きはがすと、マダニの体液がワンちゃんの体内に逆流して感染症をおこしたり、マダニの歯がワンちゃんの皮膚の中に残ってしまい、しこりになることもあります。


マダニもノミと同様に寄生されて吸血する際に、別の病気を運んできます。

バベシア症という血液に寄生する寄生虫や、Q熱や日本紅斑熱など人間にも感染する発熱性の感染症の原因菌を運んできます。



このようにノミやマダニに寄生されるということは、吸血されるだけではなく、恐ろしい病気を持ち込まれるリスクがあるのです。

ノミやマダニはワンちゃんからワンちゃんへ、ネコちゃんからネコちゃんへ移っていきます。

公園やドッグランでほかのワンちゃんと接する機会が多いワンちゃんには、ぜひノミやマダニの寄生を予防するお薬を使用していただきたいと思います。


今まで、ノミやマダニの予防薬は背中につけるタイプのものが多かったですが、最近では背中につけるタイプと同様の効果が得られる飲み薬タイプのものも処方することができるようになりました。

背中に薬をつけることに抵抗があるご家族の方や、薬をつけると皮膚が荒れてしまうワンちゃんでも安心してご使用いただけると思います。


最近ではノミとマダニの予防はマナーになりつつあるようです。

「お宅のワンちゃんからノミを移されたんだけど・・・」なんて言われないように、ぜひノミとマダニの予防をしていただきたいと思います。



ソルナ動物病院-ロゴマーク1