寒い時期におきやすい病気


今回は猫ちゃんの腎不全です。


最近では腎不全という表現ではなく、腎機能障害と表現するようになってきているのですが、
今回はなじみがある『腎不全』という表現をさせていただきます。
なお、下に書かれている内容は、難しい部分をわかりやすくするために、

厳密な点で間違っている所や省いてしまっている所がありますので、

詳しくはかかりつけの獣医師にご相談ください。


前々回でお話した、膀胱炎とも少し関係がある話なので、
膀胱炎の話とあわせて読んでいただくといいかと思います。



腎臓はどんな働きをしているかご存知でしょうか?
腎臓は胃の下あたりに左右2つある臓器です。

主な仕事は血液の濾過をすることです。
食べ物を消化した際にでてくる、体にとっての有毒なアンモニアなどの窒素成分や
余分な水分を体外に排泄します。

その他にも血液を作るホルモンを分泌したり、血圧をコントロールするなど様々な役割があります。



寒い時期になると猫ちゃんの飲水量は極端に低下します。
飲水量が減ることによって、体内を循環する水分量も低下します。
体内の水分量の低下によって、腎臓での血液循環も悪くなるので、腎臓の機能が低下します。
高齢や体質によりもともと腎臓の機能が弱い猫ちゃんの場合、腎臓への血液循環の低下により
腎臓の中にある濾過をする組織がひどいダメージを受けてしまいます。
そのため、寒い時期になると猫ちゃんの腎不全が多く見られるのです。



腎不全になると、アンモニアや尿素などの窒素成分が、
体外に排泄されなくなるので、尿毒症になってしまいます。

腎不全の初期症状は尿比重の低下です。
尿比重というのは尿の重さのことで、正常な腎の働きができなくなると尿比重が下がります。
残念ながら、尿比重の測定には専用の測定機器が必要なので

ご家庭では測定するのが難しいです。

腎不全の中期や後期になってくると、食欲不振や脱水症状、

下痢、嘔吐、血液中のミネラルバランスの異常などが見られるようになります。

末期になると激しい下痢や嘔吐、痙攣発作や昏睡状態になります。


一般的には腎不全が発見されるのは、ご家庭で症状がわかる中期から後期が多いです。
腎不全は早期発見早期治療によって、長期の延命の可能性が高くなります。
高齢の猫ちゃんの場合、特に体調が悪くなくても、

時々病院で尿検査をしておくと早期発見が可能になりますので、
ぜひ尿検査の実施をお勧めいたします。



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