青いバラは、この世には存在しないと聞いていた、
この本を読んだ当時には。

青いバラ/最相 葉月

¥1,680
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だけど今日、街を歩いていて、ふと眼に入ったそれは
まさしく青いバラ。

人間の欲望によって、とうとう人工的に作りだされ、売り出されるまでになったか?

ふと思う。
あの人の佇まいに、青いバラはよく似合うのではないか。

用事が済んだあと、
いつもお世話になっているあの人に買って帰ろう、
とそのまま店先を通りすぎ。


用事を終えてその花屋へ戻ってみると、
さっきまであった青いバラが、すべて消えている。

いそいそと店仕舞いの支度をしている様子の店主。

あわてて、尋ねる。

「さっきそこにあった青いバラは、ありますか?」


ない。

20本近くあったそれは、
ある一人の男性によって全て買われ、持ち帰られたとのこと。

自宅で、奥さまと一緒に眺めるのだとか。


あーーん、用事の前に買っておけばよかった・・!

くやしがっていると、店主が言った。

「青い花なら、こっちのほうがいいよ。
 デルフィニウム。自然の色だから」

しばし店内を歩き、逡巡したのち
では、ということで、その青いデルフィニウムと
やさしいピンクのトルコキキョウを包んでもらう。


それにしても、
20本近くの青いバラを全て買い、それを奥さんに贈るなんて
なんて素敵なひとだろう。

そうつぶやくと、

「偽物だよ。
 白いバラに、青い水を吸わせたものだからね。
 ぜんぜん自然じゃない」

その青いバラは、つぎは一週間後にしか入らない、という。

「一週間後、電話ください。
 青いバラもいいけど、今度食事でも」


青いバラと、それを売る店主。
それを買い占める男性と、貰った女性と。
それを買いそびれた女と、貰いそびれたひと。


なんだか、映画になりそうなある日のできごと。

青いバラにまつわる、複数の人びとの想いが交錯して。


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今日も、気を交錯して