・・・昨日のつづき・・・


ランチで入った、某ホテルのレストランにて

「ハンバーグ、どうですか?
 ぬるくないですか・・?」

と、ウェイターさんに話しかけられたわたしは、
まだ、右手にお箸を持っただけで、一口も食べていなかった。

わたしの仕事ぶりを「ぬるい」と言っているのではないと分かり、
安堵の気持ちに包まれながら

「ぬるいですか?」と問われたからには、
食べるのが礼儀だろうと、瞬時の判断を下し
お箸で、その牛と豚のコラボレーションの塊を割り、
ウェイターさんに見守られながら、それを口に運んだ。


ぬるいと言えば、ぬるい、、かな?
そう思い 「ぬるいようですが、美味しいです」 と伝えた。

すると、白い衣装をまとったコックさんがすかさず寄ってきて言った。


コックさん「温めます・・・!」

ウェイターさん 「さきほど、別のお客様から“ぬるい”と言われたものですから・・」

わたし 「そうですか。
     一口食べちゃったので、新しいのに交換しなくていいので
     それ、そのまま温めてくれますか?」


さほど気にしていないわたしの様子に、
安心した風情のコックさんとウェイターさんは、目くばせをすると、

わたしの目の前から、ハンバーグの鎮座した白いお皿を
風と共に去りぬのように、あっという間に持ち去った。


待つことしばし。。

再び現れたウェイターさんが、テーブルに置いたハンバーグは
デミグラソースがたっぷりとかけられていて、
さきほど食べた欠けた部分さえ、気づかないほどだった。


しかし。

それは、わたしが気がつかなかったのではなく、
また、目の錯覚でもなかった。

ハンバーグは、まったくの新しいものに変わっていたのだ・・!

お箸で、牛と肉のコラボレーションの塊を、あちこち探ってみても
完璧な形をしていて、欠けていない。

さきほどのハンバーグとは違うものなのか?
交換したのか?

まさか、誰かスタッフの方のまかないにでもなってしまったのか?
それとも・・・あぁ・・!

もったいない!
さきほど食べたアレで良かったのに!


でも、わたしはそう言えなかった。
満面の笑みでサーブしてくれるコックさんに、そうは言えなかった。

なぜなら、
「良かれと思ってやったこと」だろうから。。。

その時のわたしは「良かれと思ってやったことが、そうではなかった」と
分かって、ガックリしている最中だったからだ。


「良いことをした」と信じきっている顔をしている人に向かって
何といえばいいのか・・?!


わたしは、その新品に交換されたハンバーグを食べながら
体の内部から自分を癒しつつ、
どこかへ消えてしまった、欠けたハンバーグに思いを馳せた。


「良いことした」というのは、
自分がそう思っているだけで、相手はそう思っていない。

そんなことが、実は、案外と多いのじゃなかろうか。

いわゆる、自己満足というやつ。


これへの対策は、2つ。

●1つは、自分の場合。
自分が自己満足にならないように気をつける。

相手の求めているものを、まずは、汲み取る。
それができれば、間違ったものを提供することは、大よそ防げると思われる。

昨日のわたしが、まさしくコレだ。
反省。。。


●もう1つは、相手が自己満足になってしまっている場合。
これは、相手によって対応を変えるのがベターなのではなかろうか。

さきほどのハンバーグの例でいえば、
ことさらに、相手を責めたり詰問したりしなくても、

こちらに特別なデメリットが生じるわけではなく、
コックさんのガックリする姿を見るのは忍びないので、

相手の意向を尊重して、黙認する。
大人の対応ってやつですナ(笑


●一方、こちらに何かデメリットが生じることが想定される場合は、交渉が必要だ。
やんわりと、ふんわりと、こちらの意向を伝える。

しかし、それを成しとげるには相当の場数と人間力が必要となり、ハードルが高い。
わたしには、まだまだそうだ。

いやもしかしたら、やんわりと、ふんわりと、なんて言っているのは
それこそ「ぬるい」のかもしれない。

昨日のわたしは、きっとお客様から、「ぬるい!」と映っていたのだ。

だからこそ、

「何も手を加えて頂かなくて結構です。
 こちらの言うとおりに作ってください」

と、よけいな枕詞など一切付与せずに、ストレートに言っていただけたのだ。


きっとそのように言わないと気がつかない。
私のような鈍感な者には。。(汗

やっぱり、相手によって使い分けが必要なようだ。



そんな気づきを得られた、ランチタイム。

「神戸牛とイベリコ豚のこだわりハンバーグランチ」は
2,000円もしただけあって、非常に美味であった。


コーヒーも飲み終わり、帰ろうと席を立つと
さきほどのコックさんが、どこからともなく飛んできて
深々とお辞儀をしてくれた。

・・・!!!

ビックリした。
コックさんのかぶっている長い白い帽子は、
天井が空いていたのだ。

深々とお辞儀をするコックさんの、
頭のてっぺんが、一瞬、黒々と見えた。

なぜ、コック帽のてっぺんは空いているのか・・?


世の中、不思議なことで満ちている。
分からないことだらけだ。


帽子の白い丸い円の向こうに見えた、コックさんの黒い頭のてっぺんが
脳裏に焼き付いて離れなくなりながら、
そのレストランを後にした。


毎日、いろんなことが起こる。


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今日も、気を脳裏に焼きつけていこう。

長々と書いたが、これも一種の「自己満足」か。。