デンマークのコペンハーゲンにある
クリスティアニアという、無政府主義国家を訪れた。

ヒッピー達の自治区となっている。

ガイドブックには載っていない。
誰かの思惑が見え隠れする。


自治区を覆う、背の高い壁の外からの様子は、少し荒れた感じ。

壁のなかに足を踏み入れた瞬間、
外のコペンの街とは、空気がかわる。



俺たちは俺たちのルールでやっていくんだ。

介入しないでくれ。

放っておいてくれ。

そんなにあくせく働いて、一体どうしようって言うんだ。

好きなようにやろうぜ。




そんな風に語りかけてくるような風情。




あのさ、
もし、ここに一ヶ月いて、
今、ちょうど一ヶ月後だとしたら
何を、どんな風に感じてると思う?

などと、話したりした。


目の前には、お天道さまの下で
食べたり飲んだり、
本を読んだり、思い思いに過ごしている人々がいる。


目の前を、
日本や、コペンの街では見かけない
格好をした人々が、
何度も通り過ぎる。


きっと、一ヶ月の間、
彼らと同じように過ごすことだろう。

好きな時間に起き、
お腹が空いたら食べ、
好きなだけ本を読み、
気の向くままに散歩する。


締め切りに追われることも、
時間を管理することも、ない。



そして一ヶ月後。
私は、きっとそこを出るだろう。

別にそこが嫌いになったわけではない。

本当にやりたいことを、やるために。
ただそれだけの理由で。


収入とか、住む場所とか、
そんな小さなことは、どうでもよい。

とにかく、ソレをするんだ。
その一心だけを携えて。


なぜ、出ていくのか?


なぜなら、それをやるために産まれてきたからサ。

なんて、答えながら。



問題は、ソレ、が何なのかよく分からないこと。


分からないが、
分からない、ということは分かっている。


だから、きっと大丈夫な気がする。

クリスティアニアのお天道さまの下で。