大谷資料館は1919〜1986年まで大谷石を切り出した跡の巨大な地下空間を一般に公開したもので、戦時中は軍の秘密地下基地に、戦後は年間を通じての平均気温8度の条件を活かして、米の貯蔵庫に、現代ではコンサートや美術展、演劇場にと、時代を経て様々な使われ方をしている。
しっかりと防寒着を着込んで、石の階段を降りて行く。
幻想的な照明が行く手を導き、支えのために掘り残した柱と柱の間に直線的な幾つもの空間が広がるなかを、地下へ地下へと進んでいく。
所々に石の見本や古い機械が展示してある。
現代のように重機もない時代に、重い石を切り出し地上に運ぶ困難さは、想像もつかない。
石の壁には手掘りから機械掘りに変わっていったノミの跡が残り、石工たちの息遣いやざわめきが聞こえるようであった。
地上に戻り、ホッと息をつく。
車に戻る頃にはポツポツと雨が降りだした。
若夫婦が見つけてくれたお蕎麦屋さんで三味蕎麦を食べてから、東北道東京経由で帰る彼らと、常磐道を目指す我々と、右左に分かれる。
大谷石の土蔵が数多く残る栃木の街を後にして、雨足の強まる中を帰路についた。
ありがとう、H家族に感謝である。


