くもの上の人 | BLOG SOLOSOLO

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仙台から

ゆうことみぽのソロとソロ

ふたりの文字がおどるおどる

春の雨



小学校に入学したばかりの頃を思い出す。


雑草がぼうぼう生えた空き地
雨に濡れて青臭い
長靴
長い黄色の名札
灰色の空
頭に浮かぶ慣れない教室とかいう部屋とたくさんの子供
重たい気分



春はギャップが大きいから
疲れる裕子です。


突き抜けるように晴れて
頭が興奮し、体が弾けようと浮かれようと心を未知の可能性へと平気で誘う陽気の暖かい空気の日





冬に逆戻りしたのかと思う程冷たい雨が降り、晴れた日のあの興奮は夢だったのか…と思わせる程の寒々しい空気の日



平常心を保つのに苦労しますね。


おかげさまで昨日は仙台の街中をフラフラしました。
何かに触れていないと荒むばかりで…。


大町、片平、大町…


大町に行きたい気分だった。



探していた店があったんで。
大町にあると聞いていたので。
夜の大町散歩。


西公園には花見客がいた。


歩いている途中、女性の肩に手を回した体格の良いチャラチャラしたおじさんにジーっと見られた。


なんだ?

黄色い帽子に黄色いジャージにピンクと黄色と茶色のスカートの下にサテンのピンクのパンツを履いた女は珍しいかい?


そう
“春の陽気”を纏ってみたのよ。



歩く。


“くも”を探して歩く。



きっと裏通りだと思って裏を攻める…けどない。


あきらめ半分で大通りを歩き始める。


“くも”があった。


階段を上る…上る…


ドアを開ける。

薄暗い店内に40を少し過ぎていそうなヒゲの男が1人。


『いらっしゃい、好きなとこ座って』

と言われ奥に進む。

カウンターの端の席に置かれたウーロン茶かウーロンハイと灰皿。

そこに客は居ない。


高田渡がガンガン流れているだけ。


窓際の長いテーブルと長い椅子の真ん中に腰を落ち着かせた。



サッポロの小瓶とグラス1つ。


グラスいっぱいに注いで
一気にキュ~と体の中に流す。


ビールは素晴らしい。


でもどうして?
直ぐに飲み干すのに寸前までグラスをいっぱいにするんだろう?
グラスいっぱいだから飲み干したくなるの?




いっぱいだった小瓶があっという間に空になった。


2本目と同時にイカの塩辛をお願いする。


相変わらず高田渡がガンガンである。


カウンター奥にいるマスターと私が高田渡の歌に埋もれそうになりながらもなぜこの店を知ったのか、私は踊る人だ…などということを相手にきちんと聞こえるように大声で話しながらそのマスターの前にあるカウンターにあるウーロン茶だかウーロンハイが目に入る。

ヒゲのマスターが飲んでるわけでもない。

片付けるわけでもない…。


なんか奇妙。



『1人飲みよくするの?』

『はい、よく』

『いいね、そういう人好き』




カウンター奥からマスターが塩辛とお通しの見るからに味がしっかり染みた熱々のお豆腐さんが届けられた。

幸せな味と温度に夢中になり過ぎるのをビールが冷やす。


塩辛さんは田舎味噌が入っててこれまた痺れる。
おばあちゃんの味噌汁を思い出した!と大声でマスターに告げると笑って何処かに消えた。


すると店内ガンガンに流れていた高田渡が少しおとなしくなった。

大声を見兼ねてボリュームを下げたのだ。


そしてカウンターに戻る時


『今日この人が死んだ日でさ、だからガンガンかけてたんだ』


と流れる高田渡の声に指を差す。


『そうかぁ!!!!』


ウーロン茶はきっとウーロンハイで、あれは高田渡のウーロンハイだったのだと頭の中で繋がった。

彼もかなりな飲んべえさんだったらしい。


マスターは高田渡が大好きで、彼がよく通っていた吉祥寺にある伊勢屋という店にも飲みに行ってたくらい。


伊勢屋は昼から始まるのだが
高田渡は開店前にやってきて
午前中から飲んでたらしい。



んじゃ~今日は高田渡で満たしましょうとなり、店内にあるテレビで高田渡のライブをマスターと見ることにした。

私は高田渡の音楽をきちんと聴くのはこの日が初めて。
以前テレビで見て、いつかこの人の音楽にたどり着くだろうと思っていた。



テレビの中でライブが始まる。



かっこいい!!!!!!!




彼の音楽、ライブは本当にかっこいい。
酔っててダラダラ…と思わせといてタイミングがバッチリ。
彼はめちゃくちゃにライブで起ってることを感じ、客を感じバンドメンバーを感じ、客を楽しませ歌を聴かせていた。
だからバンドは彼の感じるままの言葉や行動、歌のタイミングを常に集中して読んでいなければ、これは本当にただの酔っぱらいのグダグダライブになってしまう。

ライブはタイミングが勝負だ。

バンドが彼の感じるままをスマートに対応、息を合わせているのが伝わる。

バンドが彼のことを理解し、彼に魅せられてる。
そして高田渡もバンドを信頼してる。

タイミングが最高であることがまず凄い。

最高の理解者と仲間がいるということ。
それを信頼すること。

これが大切なのだ、と改めて思わされた。


彼の1曲1曲は最高だ。


私は今まで、流行りの音楽を流行りのまま追いかけることもしたし理解したいと思って聴き始めた音楽もあった。

しかし最高の音楽はいつ聴いても最高で、人の心に真っ直ぐだ。

だからいつでも“出会える”

と当たり前のことに改めて気づかされた。

そういう歌や踊りを作り出す人は最高だ。



そんな高田渡が大好きなくものマスターも最高です。





今夜も行きたくなっちゃう。