創作物を無断で使われてしまうという悩み
海外で創作活動をされている著作権者の方から、こんなご相談をいただくことが増えています。オンラインゲームやウェブトゥーン、イラスト、映像コンテンツなど、世界中のファンに愛される作品ほど、無断利用や盗用の被害にも遭いやすいというのが実情です。
特にSteamやX(旧Twitter)、YouTubeといった世界規模のプラットフォームでは、あるユーザーがキャラクターやワンシーンを勝手にコピー・改変し、自分のSNSに投稿してしまう、あるいはそれをグッズにして販売してしまう、といったケースが後を絶ちません。
DMCAだけでは解決しないことがあります
こうしたとき、多くの著作権者の方がまず取られる対応が、プラットフォームに対するDMCA(アメリカのデジタルミレニアム著作権法)に基づく削除申請、いわゆるテイクダウンです。
ただ、これだけでは問題がすっきり終わらないことも少なくありません。投稿した側が異議申立て(カウンター・ノーティス)をしてしまうと、著作権者が10〜14日以内にアメリカの裁判所へ差止訴訟を起こさない限り、プラットフォームは一度削除した投稿を元に戻さなければならないのです。
海外に住んでいる著作権者の方が、そんな短い期間でアメリカで訴訟を起こすのは、正直かなり難しいのが現実です。結果として、せっかく削除できた侵害投稿がまた表示されてしまい、なすすべもなく見ているしかない、という状況に陥ってしまいます。
侵害者が韓国にいるなら、韓国の裁判所という選択肢があります
私は、侵害者の所在地が韓国であるなら、必ずしもアメリカでの訴訟にこだわる必要はないと考えています。むしろ、侵害者を相手に韓国の裁判所へ著作権侵害差止仮処分と損害賠償請求訴訟を起こすほうが、はるかに実効性のある解決につながることが多いのです。
うれしいことに、DMCA手続きの中で集めた資料は、そのまま韓国国内での訴訟でも、侵害者の身元を特定したり、侵害行為を立証したりするための有力な証拠として使うことができます。
私と私が所属する法律事務所では、こうした案件を数多く扱ってきました。海外の著作権者の皆様が、韓国国内の侵害者に対して迅速かつ効果的な法的対応を取れるよう、これからも力を尽くしてサポートしていきたいと考えています。
実際にあった事例:フィンランドのゲーム会社のケース
実際に、こうした手続きを通じて韓国の裁判所から著作権侵害差止仮処分の決定を得られた事例があります。この事件自体は他の法律事務所が扱ったものですが、著作権事件を数多く手がける私たちの事務所でも同じような対応が可能ですので、ぜひ参考にしていただければと思います。
フィンランドに本社を置くあるゲーム制作会社が、自社ゲームの著作権者として、世界最大級のオンラインゲームプラットフォームであるSteamを通じてそのゲームを販売していました。ゲームに登場するキャラクターたちは独創的なデザインを持ち、緻密なストーリーラインに基づく演出やシーンの構図が、多くのユーザーから支持を集めていたのです。
ところが、韓国国内に住むあるユーザーが、これらのキャラクターやシーンを無断でコピー・改変したイラストを描き、Xなど自分のSNSアカウントに何度も投稿してしまいました。さらに、それを使ったグッズまで制作し、オンライン・オフラインの両方で販売していたのです。
著作権者はこれを著作権侵害として、XにDMCA手続きに基づく削除を申請しました。侵害投稿は一度は削除されたものの、侵害者が異議申立てを行ったことで、先ほどお話しした理由により、結局は投稿が元通り復活してしまいました。
そこで著作権者は、侵害者の所在地である韓国で、本格的に法的対応を進めることにしました。DMCA手続きで集めていた資料に加えて追加の証拠収集を行い、侵害者の氏名や住所、電話番号、口座番号といった具体的な身元を特定。侵害者が運営する複数のSNSアカウントに投稿されていた侵害投稿もすべて調査したうえで、著作権侵害差止仮処分を申し立てました。
裁判所はどう判断したのか
裁判所は、侵害者が侵害著作物をSNSに投稿し、それを使ったグッズまで販売していた行為について、著作権者の複製権・二次的著作物作成権・公衆送信権・展示権・頒布権を侵害するものだと認めました。また、侵害者が今後も同じような行為を続けるおそれがあると判断し、侵害行為の差止めを命じるとともに、違反した場合は1回につき50万ウォンを支払うよう間接強制金まで科しました。
さらに裁判所は、侵害者の行為が「フェアユース(公正利用)」として正当化されるものではないとして、侵害者側の主張をすべて退けています。
仮処分の決定が、プラットフォーム対応にも効果をもたらしました
この仮処分決定の効果は、韓国国内での侵害行為を止めることだけにとどまりませんでした。裁判所が特定のプラットフォーム上での侵害投稿を著作権侵害だと判断した以上、その後もプラットフォーム側がそれを認識しながら削除しなかったり、新たな侵害投稿を放置したりすれば、プラットフォーム自身も責任を問われかねなくなります。
実際、著作権者はこの仮処分決定をXなどのグローバルなプラットフォームに提示することで、侵害投稿の削除や侵害アカウントの停止といった、実効性のある対応を引き出すことができました。
損害賠償は思っているより少なくありません
海外の著作権者の方が韓国での著作権訴訟をためらう理由としてよく挙げられるのが、「損害賠償額があまり高くならないのでは」という漠然とした不安です。ただ、これは実情とは少し違います。
たとえば中国など一部の国では、著作権侵害が認められても損害賠償額が数十万ウォン程度にとどまることが多く、訴訟を起こすメリットが乏しいと評価されがちでした。これに対して韓国の裁判所は、侵害行為と損害の発生をある程度立証できれば、数百万ウォン以上の損害賠償を認める傾向にあります。営利目的の侵害や、繰り返し行われている侵害であれば、金額はさらに増えることもあります。
もちろん、実際の損害賠償額は事件ごとの証拠関係や侵害の態様によって変わってきますので、正確な見通しを立てるには個別の事件ごとの検討が必要です。
何よりも大切なのは、スピードです
私と私が所属する法律事務所は、韓国国内で著作権訴訟を最も積極的に手がけている事務所の一つだと自負しています。ゲーム、ウェブトゥーン、イラスト、音楽、映像など、さまざまな分野の著作権侵害事件を扱ってきた経験をもとに、侵害のタイプに応じた最も効果的な対応戦略を、できるだけ早くご提案できるよう努めています。
著作権侵害事件では、何よりもスピードが重要です。侵害者が証拠を隠してしまったり、投稿を削除してしまったりする前に証拠を確保する必要がありますし、仮処分の申立ても、保全の必要性が認められるためには早めに動かなければなりません。案件をお引き受けした後は、すぐに証拠収集と身元特定に着手し、できる限り早く法的措置に移れるよう体制を整えています。
おわりに
海外で活動されている著作権者の皆様が、韓国国内のユーザーから著作権侵害を受けていらっしゃるなら、「DMCA手続きだけでは解決しない」と諦めてしまう必要はありません。韓国の裁判所を通じた法的対応こそ、より実効性があり、確実な解決策になり得ます。同じようなお悩みを抱えていらっしゃる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
韓国での訴訟に関するお問い合わせはこちら: solon2025@naver.com
