百貨店の催事場で「クッキー缶フェア」をやっていたのでのぞいてみた。

クッキー缶には思い出がある。数年前に知人からもらったコバルトブルーに金で文字が描かれたクッキー缶の中を開けると、色とりどりで形もさまざまなクッキーが缶の中いっぱいに詰め込まれていた。ひとつ手にとって口にしてみると、バターの味が濃厚で、甘すぎない、ちょうどよい固さで口の中でやさしく崩れるようなとてもとても美味しいクッキーだった。あまりにも美味しくて、手が止まらず次々と手にとっては口に運んだ。そのクッキー缶のクッキーは、1人ではすぐに食べきれないような量だったが、2、3日ほどであっという間になくなってしまった。

そのクッキー缶がどこのパティスリーのものだったのかはいまだに分からない。もう一度あのクッキー缶のクッキーを食べたいと思いながら、何度かネットで検索してみたりして、でも見つからなくて、最近はほとんどそのことも忘れていた。

今日、たまたま入ったデパートでやっていたクッキー缶フェアにはもちろん、その幻のクッキー缶はなかったが、今度は缶の美しさ、バラエティーに富んだ様々な形状や細かい装飾の美しさに魅了された。

中でも、ステンドグラス調のデザインで、太陽と月を描いた丸いクッキー缶に目が止まり、迷わず購入した。

手にとってくるくると回しながら、光の当たり具合で表情を変える缶を眺めているだけでも心が浮き立ったが、中を開けて口に運んだクッキーもとても美味だった。

オレンジのさわやかで甘い香りと味に、ざらめの砂糖の歯触りが心地よく、後を引く美味しさだった。

すぐになくなってしまいそうなので、ちょっとずつ大事にいただこうと思う。

クッキーがなくなったら、この缶をデスクに置いて小物入れとして使おうと思っている。

クッキー缶のプレゼントもすてきだと思う。