OVA『 トップをねらえ! 』(1988年 GAINAX 監督/ 庵野秀明) | ソリッドのブログ

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 「トップ★ガン」+「エースをねらえ!」・・・・

 =熱血パロディ大感動アニメ『 トップをねらえ! 』!?


 「トップをねらえ!」とは…

 新世紀エヴァンゲリオンの監督でお馴染み、庵野秀明氏の監督デビュー作、1988年のOVA作品です。


 第1話の展開は概ねタイトル通りなストーリー(笑)

 マシーン兵器…いわゆる人型戦闘ロボの操縦を学ぶ「沖縄女子宇宙高等学校」に入学した主人公タカヤ ノリコ。

 持ち前の明るさと根性でドジや失敗や先輩のイジメを乗り越えて一人前の宇宙パイロットを目指すのだっ。
 目標は先輩でもあり全校生徒の憧れ…おねぇさま!!

…という、学園を舞台にしたありふれたコメディチックなストーリー。

 それが全6話からなるこの作品の第1話。



 だがしかし、第1話のユルいお気楽なストーリー展開にダマされちゃぁいけません。
 第2話からが本領発揮、宇宙を舞台にどんどんスケールアップしていくストーリーと映像描写。

 敵は謎の超巨大宇宙怪獣、最終的にその数は百億匹以上。

 絶望的状況から奇跡の反撃に転じる燃えさかる展開。

 神業的タイミングで登場する最終兵器=超絶無敵巨大ロボ「ガンバスター」。

 随所に散りばめられたアニメ・特撮作品へのオマージュ、パロディの数々。

 光る庵野秀明監督の演出技法。

 コメディ要素を残しながらもリアリティあるSF描写とシリアス展開で感動のフィナーレへ…。

 後に名作と云われる作品へと劇的な変貌を遂げていくのですよ!! ふぅ~…(笑)



 この作品が他のSFアニメと一線を画す部分のひとつに巧みなSF考証があります。

 超架空設定と超現実物理現象を絶妙のサジ加減でミックスした世界観。

 「エーテル宇宙」というエーテルが充満した架空の宇宙を舞台としながらも、実際の物理学や天文学に基づいた物理現象が何の説明もなしにさり気なく描写されてたりします。

 光のドップラー効果や重力レンズ効果、亜光速航行でのスターバースト現象などなど。
 仮にその現象を知らなくても映像的な演出としても非常に効果的に映ります。

 少なくとも1988年当時にそこまでリアルな描写や設定を取り入れたSFアニメは存在しなかったんじゃないでしょうか。

 他にも「天文単位」とか「パーセク」とか「光秒」とか実在の単位や用語が惜しげもなく使われてます。(…惜しむ必要はないけれど)

 ちなみにエーテルは実際に光の伝達媒体としてその存在が真面目に議論されたことがあり、存在を立証するための科学的な実験も行われましたが結果的に存在しないと結論づけられています。


 そしてそして、ストーリーの根幹にも関わる非常に重要なものが「ウラシマ効果」です。


 時間の流れの早さは絶対的なものではなく重力や速度で変化します。これは現実に証明・観測されている事実なのはご存知の方もいらっしゃるでしょう。

 我々が生活している地球圏ではその変化を実感として体感できませんが、例えば高度6千キロメートルの静止軌道を周回するGPS衛星と地上では重力や速度の違いから何億分の1秒レベルで時間の流れが違います。

 実際にその時間の流れの僅かな差を検出かつ補正しているからこそ我々はカーナビなどのGPS機能を正常に使えるわけです。

 さらに言えば、厳密には旅客機や新幹線での移動でも時間の早さは変化しているのです。


 そしてその時間の流れの差は光速に近い速度での亜光速移動やブラックホールに代表されるような超重力下ではより顕著になり、もはや時間のズレ程度では済まされないレベルに達します。

 亜光速移動する物体や超重力下にある物体を周りから見るとほとんど時間が止まってるように見えますが、逆の立場で見れば周囲の時間がものスゴい早さで流れて見えるという現象が起きるわけです。

 でもそれぞれの状況下に存在する当人にとっては1秒は1秒であり、1時間は1時間としか感じません。

 要は時間の流れの早さは相対的なもので、我々は時間という大海原に浮かぶ小舟のようなもの、足元の潮の流れの絶対的早さやその変化は分からないのです。

 そんな時間の流れの差によって生じる現象をウラシマ効果と呼んだりします。


 そしてこの作品「トップをねらえ!」ではそのウラシマ効果によって主人公はじめ登場人物たちは残酷とすら思えるほどシビアな状況に置かれていくのです。

 亜光速移動でのほんの十数分の作戦時間が地球での数か月に相当します。

 数か月の宇宙航海から地球に帰還すると10年が経過しています。

 その差はどんどん開いていくのです。


 物語で人類は最終的に超重力のブラックホールすら兵器に利用してしまうのですが、そこで主人公らが自ら選択する運命とは…。


 第1話の学園ユルユル展開からは想像がつかないほど過酷で壮大で、そして感動的な結末へと進行する物語です。



 25年近く前の作品ですので4:3画面であったり画質や作画にもやや古さが見受けられる部分もありますが、当時としてはハイレベルな映像や描写は現在でも通用するクオリティだと思います。

 万人受けもする作品ですが、少なくともSFアニメが好きな方ならこの作品を観て損はありませんよ。
 大丈夫です。この作品はスッキリ終わりますから(笑)


 もしこの作品で感動しちゃったら「トップをねらえ2!」も必見ですよ。
 













─────コメント(10)──────

直耶
こんばんは

スッキリ終わらないエヴァンゲリオンの庵野監督もトップやナディアはちゃんとスッキリ終わらせてるんですよねーw
〇〇に勝てるのは〇〇だけ!とか庵野節炸裂なアニメです(*^ω^)
作戦から戻ってきたら友達が大人になってたり他のアニメが避けてた部分をちゃんとやってたりラストシーンが印象的でした
またみたいです
2012/11/4(日) 午後 9:22
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ソリッド
直耶さん、こんばんは。

あのラストは観てるこっちの気持ちも救われたようで感動しますね。

当時は何回も観たんですけど、近年になって改めて観たらやはり良く出来ていて何回も観ちゃいましたよ。

「2!」もいいですね。ラストのラストで不覚にも泣きそうになりました。
2012/11/4(日) 午後 10:20
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顔アイコン不思議な泡
劇中に出てくるタオル?の会社に通っています
監督が昔勤めてたのかなあ
2016/6/26(日) 午後 10:13
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ソリッド
不気味な泡さん

タオルの会社、ノリコの部屋の段ボール箱でしたっけ? 近々観るので確認してみます🎵

監督か誰かが勤めてたか、制作現場の段ボール箱が目に付いたか、今となっちゃ謎ですねw
2016/6/26(日) 午後 11:37
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顔アイコン不思議な泡
監督の実家付近ですしスタッフも県内の人多いみたいですね貞本さんとか
エヴァにも頻繁に出てますね
2016/6/28(火) 午前 8:45
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ソリッド
不気味な泡さん

そういった縁があったんですね〜。
トップもエヴァも超SFなのに細かなディテールがやけに現実的で面白いですね🎵
2016/6/28(火) 午前 9:40
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顔アイコン愛言葉はツバクカンサルマ
トップシリーズの3作目が製作されるという話を聞いて1作目がまた見たくなりました。ご指摘の理由で「2!」は未見ですけど…

美麗な美樹本絵が動くというマクロス劇場版並みのスーパー作画(思い出補正あり)に、緻密な設定の独自宇宙論展開、そしてダブルノリコによるプロモーション。
同じ美樹本氏の0080やAXIAのCM入りパトレイバー、そしてプロジェクトA子2などと同じ頃の、「メカ×美少女×爆発」が主流のOVA創世記をこのトップ!も盛り上げていましたね。

極太フォントや全編モノクロのような意表を突いた演出手法がエヴァに引き継がれていくのを後になって興味深く思ったものです。
ストーリーはかなり忘れてしまっていますが、ぼかし入りの入浴シーンは脳に焼き付いていますよ。

後年のDVD化、ブルーレイ化時に主題歌差し替えがなかったのかが気になります。
2018/10/4(木) 午後 9:57
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ソリッド
愛言葉はツバクカンサルマさん

「3!」が制作されるようですねぇ🎵 どうなるのか全く予想がつきません
「2!」は1回はご覧になっといてもよいのでは。決してつまらない作品ではないと思いますよ。

トップをねらえ!は今観ても色褪せてませんからね~ ぜひぜひ「2!」と併せてお楽しみくださいw

あ、入浴シーンはモザイク入ってないですよ
一番新しいブルーレイ・リマスターは持ってませんが主題歌もそのままのハズです。
2018/10/5(金) 午前 9:04
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顔アイコンlight
時間を扱ったSFで最も物理的に正しいのは「猿の惑星」だと聞いた事がありますが
本作も真面目に科学してましたよね。スポ根の範疇を越え、最早。精神修養の書と
呼んで差支え無い「エースをねらえ!それをコメディにするなど、冒涜だと原作大ファンの私が腹が立たないのは、とても真面目に誠実に良い作品を作ろうとする意志が根底に窺えたから、
「オカエリナサλ」何と暖かい言葉でしょうか(泣)

松本零士さんもきっと感銘を受けたであろう宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。
右手に「仏教」左手に「科学(博物学)」の彼の使う科学の言葉が私は好きです。
エーテル(光素)とか作品にばんばん出てきますね。性質は大きく異なりますが大本を辿ると云う
意味に於いては「ヒッグス粒子」は「エーテル」の変形と呼べるかも知れませんね
2018/10/7(日) 午後 0:57
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ソリッド
lightさん

当時のガイナックスがより真面目に作ったと言える前作「オネアミスの翼」、
でも興行的には振るわなかったツケを取り戻すべくウケ狙い最優先で企画されたのが「トップをねらえ!」だというのは有名な話ですよね

それでもおフザケやパロディ要素満載の中にもそれだけじゃない本気が込められていたからこそ今もって根強いファンがいるんでしょうねぇ。

奇跡の帰還を果たした探査機はやぶさに向けて多くの「オカエリナサト」というネット上の書き込みを見たときはちょっと感動しました。

松本SF作品はサイエンスフィクションであることよりもスペースファンタジーでしょうかね。
松本先生は宇宙の知識に長けてますけど、描くのは宇宙の物理現象ではなく宇宙に馳せる夢なんですよね。
2018/10/9(火) 午後 9:21