性ホルモンが含まれるステロイドは、いろいろな遺伝子に影響を与えますね。治療で使われたステロイドにより、肥満したり、糖尿病になったり、骨、筋肉、皮膚が弱くなったり、感染症になりやすくなったりします。だから、人々は、この薬を使うのに慎重になるのでしたね。
 
ステロイドは、多数の遺伝子に影響を与えることができるので、こうした現象が起きてくるのです。体内に入ったステロイドは、受容体と結合して、核のDNAの、多数の部分に結合します。こうした働きをする物質を、転写因子と呼びます。つまり、ステロイドは、多くの遺伝子に影響を与え、体内蛋白に異常をきたします。エストロゲンは、自ら働くだけでなく、他の蛋白の働きを、遺伝子レベルで高めたり、弱めたりできるのです。
 
大うつ病は、男性と比較すると女性で約2倍です。 双極性障害、うつ状態も、女性で多いようです。 女性は月経に伴うホルモンの変動により、気分の変化が起きると考えられています。

多種多様な遺伝子の中は、エストロゲン受容体複合物が、結合できる部分を持ちます。そううつ病やうつ病の人で、エストロゲン結合部位の構造を丁寧に調べた研究を紹介します。PLoS One. 2012;7(2):e32304..
PMID: 22389694

すでに過去に、いろいろな遺伝子ごとに、その遺伝子周囲にエストロゲン結合部分をもつかどうかが研究されており、その塩基の並びの結果が公表されています。
 
正常の人の遺伝子の並びとくらべて、病気のある人では、その部分の塩基の種類 (アデニン、グアニン、チミン、シトシンのうちどれか) が変化が起きているのかを調べていきます。
 
エストロゲン結合部分の塩基の種類をひとつひとつを調べて、スニップと呼ばれる1塩基置換(ヌクレオチド多形性)を見つけていきます。病気の人だけに高頻度で見られる塩基変化があるか、統計的な計算を用いて、遺伝子と病気発症の関連を調べます。
 
かつて、エストロゲン受容体α、β遺伝子そのものを調べた研究では、うつ、そううつ病では、はっきりした遺伝子変化は見いだせませんでした。今回は、エストロゲン受容体遺伝子そのものでなく、他の遺伝子の近傍で、エストロゲンが結合部位の1塩基置換の有無を、病気のある人と、正常人を比較して調べたのです。
 
研究の結果、エストロゲン複合物の結合部分1000-3000ヶ所位のうち、rs6023059と呼ばれる部分に、1塩基置換がおきていると、女性のそううつ病がおきやすくなることがわかりました。
 
男性そううつ病では、この1塩基置換とそううつ病が関連しませんでした。
 
この置換は、どの遺伝子の近くでおきているかというと、細胞の活動に大事な働きをおこす酵素を作り出す遺伝子のそばにありました。トランスグルタミナーゼ2(TGM2)と呼ばれる酵素の遺伝暗号の下流に置かれる一つのヌクレオチド多形性(スニップ)でした。
 
トランスグルタミナーゼ2は、多くの種類の細胞にある蛋白で、細胞の働きのいろいろな部分に影響を与えます。トランスグルタミナーゼ2は、細胞のカルシウム代謝に関係し、細胞の骨格、アポトーシス、分化、接着などに関係します。TGM2蛋白は、海馬の神経細胞アポトシースと関連するのではないかの説があります。
 
エストロゲンが増減しても、正常女性では、調節が働き、気分不快が避けられますが、遺伝子異常があると、エストロゲンの増減に反応して不安が高まったりして、そううつ状態になりやすくなるのではないかと、この論文は推論しています。

すなわち、この論文では、エストロゲン・レベルの変化に対応しきれないことが、心身の調節の低下と関連する仮説を提唱しています。
 
エストロゲンは、転写因子以外にも、脳内神経物質としても、働きますので、話はとても複雑になるであろうと思います。
慢性肺疾患を持つ女性における女性ホルモンの影響BMC Womens Health. 2011 Jun 3;11:24.

女性は、呼吸器の病気が起きやすいことを紹介してきました。喫煙が、女性でまだまだ男性より少ないことを考えると、女性の肺の病気の多さは、驚くべきことです。
 
女性は炎症が起きやすく、病原体の排除には好都合ですが、一方では、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)のような炎症性肺疾患が悪化しやすいです。これらの病気は、致死的なため、死亡率は、女性で増加します。
 
この論文は、カナダのデータですが、白人では、嚢胞性線維症CFが多くなります。嚢胞性線維症(CF)は、西洋人に多い遺伝的な病気であるため、不妊治療のため人工授精を受けようとするカップルでは、この遺伝子異常を持つかどうかをチェックすべきとの学会勧告が出されています。

この病気では、気道の分泌が亢進していても(痰が多くても)殺菌能が悪く、何度も細菌感染を繰り返します。そして、致死的な緑膿菌の慢性感染となっています。
 
死亡率の高さは、30年間の観察で、女性は常に男性より高く、1989年には大きく水があきました。その後、女性の生存率も上昇したため、男女差は減少しています。
実際の平均死亡年齢は、1977年男性28歳、女性20歳、1989年では、男性36歳女性27歳、2001年になると、男性38歳。女性34歳という数値が得られています。
 
喫煙の影響は男女共にうけるものの、女性は、喫煙の影響を受けやすく、そこにも女性ホルモンの影響があるようです。
 
興味あることに、病気のない健康女性では、月経周期に関係なく肺機能が保たれますが、上記のような病気がある女性患者では、月経のサイクルの間、肺機能が低下してしまうことが疫学研究で示されています。エストラジオールと黄体ホルモンが気道を縮めてしまうことに関与するようです。

女性ホルモンの増減を感じる部分は、受容体と呼ばれ、αとβがあることは、以前のブログでも紹介しています。エストロゲン及びその受容体は、胎児の肺が出来上がる時に重要で、これらの物質の相互作用で、肺は作られていきます。
 
αは肺胞構造を、βは肺間質(肺胞以外の部分)をつくっていきます。α受容体は、炎症に対して抑える働きをしていますが、βにはこうした抗炎症作用はありません。しかし、実際の働きは、それほど簡単に区別されているわけではなく、生体内の受容体は、相互に助け合い、時に、抑えあいます。

喫煙女性では、タバコの有害物質を代謝していく能力がエストロゲンによって阻害され、さらに、エストロゲンから生じる有毒な中間代謝物が生成しやすくなります。その結果、女性で、タバコによる酸化ストレスが高まります。エストロゲンの1種であるエストラジオールは、免疫の遷延化がおきやすいTH2表現型の方へ適応可能な免疫を左右に動かします。
 
このエストラジオールは、気道上皮細胞のMUC5B遺伝子の働きを強めます(痰が多くでる)。 黄体ホルモンは、気道炎症を増やすことに加担します。

女性ホルモンのサイクルは、以下のようですが、月経周期で大きく変化し、個人差が大きなものです。又、その働きは、単に血液の数値だけでは、評価できません。診療の外来で単発で女性ホルモンを測っても、それは大きく変動する数値の幅の中に入るもので、測定自体はたいした意味はありませんので、一喜一憂する必要はありません月経周期が女性なら、ホルモンは正常にサイクルしています。

女性ホルモンのサイクル
               17β-エストラジオール (nM)           プロゲステロン (nM)
ろ胞期 1-13 日目     ~0.15-0.37 (40-100 pg/ml)              ~0.95 (300 pg/ml)
排卵期 14日目        ~0.37-1.47 (100-400 pg/ml)             ~0.95-9.54 (300-3000 pg/ml)
黄体期15-28 日目      ~0.15-0.92 (40-250 pg/ml)             ~9.54-31.81 (3000-10,000 pg/ml)
 
世界中で、若がえり物質探しが続いています。
 
若がえり物質としては、性ホルモンがまず思い浮かびます。広告では、女性ホルモンを増やす方法を論じた雑誌が売れていますが、このブログでは、人の体に対する性ホルモンの影響の複雑性について情報提供をしてきました。
 
ネット記事、新聞広告にあふれる若がえり物質の多くは、その効果について、臨床試験は行っていません。
臨床試験を合格するためには、偽薬との比較試験に勝たなければなりません。
このためには、かなり強力な効果を持つことが必要です。人は、偽薬でも容易にだまされます。効いてるみたいの感覚だけでも、心は十分に救われます。
 
若がえりに有効であろう性ホルモンですが、当然、日本では治療として許可されていませんし、一般的な認識でも、ホルモンは怖いと考える人が多いと思います。
 
しかし、外国では、若がえり効果を求めて、性ホルモンや成長ホルモンについて、積極的な臨床研究が続けられています。臨床試験では、日本人が恐がる強い薬が用いられますが、偽薬との比較試験に勝つためには、強い効果が必要なのです。
 
効果がなくても、副作用がなければよいというのが、日本人的な考え方ですが、外国では、効果がでなければだめで、効果があれば、多少の副作用は見逃すという考え方のようです。
 
少し、古くなりましたが2002年の、性ホルモンと成長ホルモンの若返り効果を、偽薬との比較試験で証明した論文を紹介します。
 
男性ホルモンとして、テストステロン、女性ホルモンとして、エストロゲンと黄体ホルモン、及びその偽薬が投与されています。
 
さらにそれに加えて成長ホルモンが追加されています。成長ホルモンは、思春期になると下垂体前葉から活発にでるホルモンで、体の成熟と身長を伸ばすホルモンです。
 
今回の臨床試験の投与期間は、26週でした。
 
この論文の結論は、性ホルモンと成長ホルモンの投与により、男性では筋力アップ、心肺機能アップが証明できました。
しかし、男性では糖尿病が多く発症しました。女性はこうした副作用は少なかったのですが、浮腫がでて、筋力アップや心肺機能アップ効果は、いまひとつでした。
 
性ホルモンや若がえり薬による男女への効果の違いを知ることは、興味深いものです。
男性の場合、若がえり薬で、体力をアップさせると、関節痛や糖尿病がでたりしました。男性が強くあるためには、体の他の機能を犠牲にするという宿命的な構造が伺えます。
 
一方、女性では、筋力や心肺には、若がえり薬の効果は今ひとつで、GHを投与された人の4割の人に浮腫がみられるものの、糖尿病の発症などはみられないようです。
 
以下が論文です。

JAMA. 2002;288(18):2282-92. PMID: 12425705
加齢した人にホルモン投与をすると、体重を増やし、脂肪を減少させることができます。今回の試験では、加齢した人に、成長ホルモン(GH)と性ホルモン、及びその偽薬を投与して、体の持久力や強さへの増強作用に対する影響を比較しました。
 
米国に居住する健康で歩行可能な65~88歳の一般女性(n = 57)と、一般男性(n = 74)を対象に、ホルモン投与26週間の臨床試験を、無作為二重盲検プラセボ対照法で、行いました。
 
成長ホルモンGHを、皮下に3回/週投与開始しましたが、開始量の30μ
g/kgは、副作用が多かったため20μg/kgに減らしました。
 
これに加えて、男性にテストステロン、女性にエストラジオールと黄体ホルモンを投与しました。
参加者は無作為化され、26週間、薬剤が投与されました。
 
男性ではエナント酸テストステロンの100mgの隔週筋肉注射)群; GH +テストステロン群; テストステロン+偽薬GH群; 共に実薬群の4群です。

女性では、毎月、エストラジオール貼り薬28日間と、後半10日間、経口の黄体ホルモンの併用をしました。
 
治療前後で、体重、レントゲン解析装置を用いたやせ指数、機器を用いて測定した筋力、トレッドミルによる心肺機能測定値(酸素取り込み最大値(VO(2)最大)の変化をしらべ、かつ、副作用もみました。
 
結果:
女性では、痩せ指数が改善し、脂肪成分が減少しました。
指数の変化は、
コントロールの偽薬群0.4kg、
HRT群+偽GH群1.2kg、
GH群+偽性ホルモン群1.0kg
GH+HRT共に実薬群では、2.1kgとなりました。
 
男性においても、同様の変化がありました。
指数の変化は、
コントロールの偽薬群 0.1kg、
テストステロン群+偽GH群 1.4kg、
GH群+偽性ホルモン群 3.1kg
GH+テストステロン群 4.3kg となりました。
 
女性の筋力の増加は、4群間の差は小さく、HRT群、GH + HRT群でわずかに増加しました。

男性の筋力増加は、GH +テストステロン群は、13.5kgで有意に増加しました。
女性の心肺機能最大VO(2)値は、GH群と、GH+ HRT(P =.06)群で少し増えました。
男性の最大VO(2)値は、GH群と、GH+テストステロン群で、増強しました。
副作用の浮腫の頻度は、女性に多く生じ、GH群に39%、GH+ HRT群に38%の頻度で発現しました。
 
男性では、GH+テストステロン群の32%に、手根管徴候がありました。男性の関節痛はGH群の41%にみられました。糖尿病またはブドウ糖不耐性は、 GHを受けた男性の18人、GHを受けていない男性7人に起こりました。
 
結論:
この研究において、加齢した健康人では、性ホルモンと成長ホルモンは、体脂肪を減らし、筋力アップと心肺機能の増強効果を発揮しました。しかし、女性にはその効果がでにくい結果でした。重要な副作用として、男性では、耐糖能の低下(糖尿病になる)があり、年配者へのホルモン投与は、慎重にすべきとの結果になりました。
 
ブドウ糖不耐性とは、インスリンが存在してもその効果が低下し高血糖が起きることを言います。
ピルの安全性についてのデータは、過去ブログで紹介してきたように、ピルの効能に対して好意的な立場で書かれています。
 
多くの関係者が臨む安全であってほしいとの希望が、論文の結果に影響を与えているような気がします。使う女性も、処方する医師も、作る製薬メーカーも、安全であってほしいと願っています。そうした人々の思いが、データに影響を与えます。
 
生殖医学の論文を読んでみると、そうした論調はさらに顕著です。人工授精で生まれた子どもが健康であってほしいと願うのは、関係者すべての願いです。
 
残念ながら、人工授精で生まれた子供は、発育不全や遺伝異常は、自然受精に比べれば、有意に増加しています。しかし、そうしたリスクを解析しながらも、人工生殖医療で生まれた子どもは、多くが健康で、人工介入の成果は、従来通りに安心できるものと論文に書かれています。
 
“安心できる“の表現は、際立って高率に異常児が生まれることは無かった(だから、安心できた!)。
 
ピルは、普段、健康な人が使用するものですから、ピルは安全なものであってほしいでしょう。
 
今回は、こうした希望に水をさすようなデータですが、ピルを飲んでいても、うっかり妊娠してしまった人が、妊娠を継続した場合、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12にご注意との論文です。
 
葉酸と、ビタミンB12はまず欠乏が起こらないが、ビタミンB6に関しては、欠乏症が起きるリスクが高いとの米国からのデータを紹介します。
Nutr Rev. 2011 Oct;69(10):572-83.  PMID: 21967158
 
初期の疫学研究データでは、避妊用ピル(OC)が、葉酸レベルを低下させると言われていました。この頃のOCのエストロゲン含有量が、現在の製剤より高くなっていました。最近のデータでは、OCが葉酸レベルを低下させることはないとされています。妊婦の葉酸不足は、胎児に重大な影響がでますね。
 
しかし、多人数を扱う人口ベースの疫学データでは、ビタミンB(6)低下に関して、現在の低用量OCでも、ビタミンB6低下の可能性があることを示しています。
 
OCユーザーだった女性が妊娠すると、血漿のピリドキサール5'-リン酸塩濃度の低下が観察されています。この物質が低下は、体内のビタミンの貯蔵が低下した状態を反映する可能性があります。
 
ビタミンの貯蔵が低下した女性では、妊娠を継続していく過程で、ビタミンB(6)不足の危険にさらされることになります。
 
 ビタミンB(12)レベルに関しては、このようなことはないようですが、詳細に関しては、今後の調査を待たねばなりません。
Br J Ophthalmol。 1998;82(5):538-42 PMID: 9722322
 
避妊用ピル(OC)を使用すると、目の病気が増えるとのデータを紹介します。
 
論文が発表されたのは、1999年です。日本では、あまり話題にならなかったようです。医師でもそうした知識を持っている人は少ないのではないでしょうか?
 
ちなみに、網膜は、眼球の奥の部分で、物がみえるために一番、重要な膜となっています。眼底出血などは、この網膜における出血です。外から見える部分は、結膜です。
 
英国の2か所の異なるコホート研究で、同じような確率で、網膜疾患が増えると報告されています。
 
今まで、このブログで紹介してきたのは、ロイアル一般臨床医研究(Royal College of General Practitioners' oral contraception study RCGP)でした。英国にはもうひとつ、女性の健康に関する有名なコホート研究があるようです。それは、オックスフォード大学家族計画協会(FPA)避妊研究です。
 
これらのコホート研究には、63,000人の女性が参加し、女性の数に観察年数をかけると、850,000以上人-年となります。これらの追跡研究は、1968年以降よりはじまりました。
 
分析された目の病気は、結膜炎、角膜炎、虹彩炎、涙腺の病気、斜視、白内障、緑内障、網膜剥離と網膜血管病変でした。 これらの病気が、ピル群、非ピル群で、発症に差が無いかどうかを計算しました。

ピル使用群では、網膜血管病変が増えました。網膜血管病変の相対危険度は、RCGPデータでは、2.0倍(95%の信頼区間(CI)、1.0-3.8)、と
オックスフォード-FPA 研究では、2.4倍(95%の信頼区間(CI)、0.4-9.2)でした。
 
網膜病変の種類別には、特に増えるものはなく、特別の診断カテゴリー(例えば、網膜脈管閉塞、網膜静脈血栓症、網膜出血)とは関連しませんでした。
Royal College of General Practitioners' oral contraception study(ロイアルコレッジ開業医によるピル研究)の紹介の続きです。
 
疫学研究は、長期に追跡するほど、優れた研究となるでしょうが、追跡中にドロップアウトする人もおおくなり、データにバイアスすることもあると思います。
 
当初のロイアルコレッジ開業医によるピル研究は、1400人の開業医が直接、患者の死亡をチェックしていたようです。
 
追跡研究の途中から、75%の女性をNHSのデータに移行しています。途中から(、死亡原因解析は、開業医による確認作業でなく、英国健康保険システムNHSのコンピューターを用いた集計になっています。
 
1999年には、どのような結果が発表されていたのでしょうか?
 
1999年は、BMJ(ブリティシュメディカルジャーナル)に25年間の追跡が発表されています。
この時の、女性の平均年齢は、49歳でした。この年齢層では、ピル群と非ピル群の病気はどうなっているのでしょうか?
 
もともと、この対象となる女性たちには、非ピル群と、ピル群の数の違いと、年齢差があります。
一応、データは、年齢群を用いて補正をしているとあります。
しかし、長期観察するほど、参加女性が加齢をしていき、年齢差が影響すると思います。最近のデータ程、ピル群で死亡が少なくなるデータになっています。
 
2010年のデータでは、ピル群は、非ピル群にくらべて、全死亡が 0.98 でした。
 
本日紹介する1999年のデータでは、その数値は、1.0 になっています。
 
しかし、注目するのは、ピルをやめて間もない人(恐らく、長くピルを使っていた人)では、死亡は増加していることです。論文の論調も、この部分に懸念を表明しています。
 
以下が、1999年のロイアルコレッジ開業医によるピル研究論文です。
 
25年の間で、追跡中の女性のうち、1599人が亡くなりましたが、その死亡率は、ピル群、非ピル群で、両群に差がありませんでした。 (相対リスク1.0倍, 95% 信頼区間 0.9 to 1.1; P=0.7) 。
 
ピル群には、がんが多くなる臓器と、がんが減少する臓器があります。
減るのは、大腸、子宮体がん、卵巣がん。
 
しかし、増えるがんには、子宮頚がん1.7倍、肺がん1.2倍、肝臓疾患は増え、肝がんは、5倍に増えています。 循環器疾患は、1.2倍に増えます。

現在も使用している、及び、最近10年以内まで、ピルを使用していた女性を、それ以外の女性と比べました。全部のがん死亡は、1倍で、非ピル群と差がでていません。
 
卵巣がんは、0.2 (0.1 to 0.8; P=0.01)と減っていますが、子宮頚がん2.5倍 (95% 信頼区間1.1 から 6.1; P=0.04)と増えています。

心循環器系疾患による死亡は、1.9 倍(95% 信頼区間1.2 から3.1, P=0.009).に増加しました。
 
カッコ内の数値(95% 信頼区間)が、1を超えている場合は、確実に増えていると言えるとの意味です。
 
ピルを10年以上前にやめている女性では、そのような超過死亡はなかったとしています。
ピルとがんに関するデータの紹介です。
昨日と同じロイアルコレッジ開業医によるピル研究の紹介です。
 
今回は、がんの発症について、ピルとの関係を論じています。
BMJ. 2007 Sep 29;335(7621):651 PMID: 17855280

結論は、がんは増えないというものですが、ピル群、非ピル群に含まれる女性の年齢には差があります。ピル群の女性が有意に若いのです。
 
このデータの30歳未満の女性の割合ですが、ピル群で63.6%、非ピル群で51.5%です。観察女性の数に、観察年月をかけた数値は、ピル群744000人、非ピル群339000人となっています。
 
この論文では、特に観察ができたと思われるサブグループの成績が紹介されており、これは開業医が丁寧に診療して、データ分析したデータであるとされています。

この開業医データでは、メインデータより、がんの発症は、ピル群で増えています。
 
ピルを内服すると、自然な排卵が起きなくなります。卵巣から成熟卵が外に出る(排卵)時、卵巣の膜は穴があくことになります。すぐ修復されるものの、卵巣の膜にとっては、負担となるでしょう。ピルを飲めば、この卵巣への負担は減るかもしまません。
 
また、月経周期に従って、子宮内膜は厚くなり、はがれおちるを繰り返しますが、ピルを飲めばこの変化が軽くなります。すると子宮体部に対する負担が経るかもしれません。その結果、子宮体がんと卵巣がんは、ピル群で減少します。
 
今回は、ピル群で、下垂体を含むがんが増えています。

最も頻度が高い、乳がんへの影響はどうでしょうか?
このデータでは、乳がんの発症は、ピル群、非ピル群であまり差がありません。しかし、再度、この2群では、元々含まれている女性たちの年齢に違いがあることに、注意をしてください。
 
さて、2007年BMJの論文を見ていきましょう。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1995533/pdf/bmj-335-7621-res-00651-el.pdf
 
メインデータベースを用いたそれぞれののがんの発症は、
    すべてのがん  非ピル群を1とすると、ピル群は、0.88倍
    乳がん     非ピル群を1とすると、ピル群は、0.98倍
    子宮頚がん   非ピル群を1とすると、ピル群は、1.33倍
    子宮体がん   非ピル群を1とすると、ピル群は、0.58倍
    卵巣がん    非ピル群を1とすると、ピル群は、0.54倍
    中枢神経がん  非ピル群を1とすると、ピル群は、1.34倍
    (下垂体を含む)
 
開業医データベースを用いたそれぞれのがんの発症は、
    すべてのがん  非ピル群を1とすると、ピル群は、0.97倍
    乳がん     非ピル群を1とすると、ピル群は、1.02倍
    子宮頚がん   非ピル群を1とすると、ピル群は、1.49倍
    子宮体がん   非ピル群を1とすると、ピル群は、0.47倍
    卵巣がん    非ピル群を1とすると、ピル群は、0.51倍
    中枢神経がん  非ピル群を1とすると、ピル群は、3.23倍
 
さらに、この論文では、ピルの使用年数によっても、がんの発症頻度を比較しています。4年未満、4-8年 8年以上の3群です。
 
ピルの使用が長くなると、発症が1をこえるがんが増えてくることにご注目ください。
 
特に増加するのは、下垂体を含む中枢神経がんです。下垂体は、卵巣におけるホルモン調節をする臓器ですから、人工的なホルモン介入により、刺激ホルモンの分泌が錯乱されてしまうのかもしません。

図1では、中枢神経がんの増加が顕著です。図2では、中枢神経がんをのぞいた各種がんですが、8年をすぎると微妙に増加するがんがふえていることにご注目ください。縦軸は、非ピル群を1とした時の、ピル群の発がんリスクです。
 
図1
イメージ 2
図2
イメージ 1
 
女性ホルモンは、女性の健康をサポートするものですが、その働きは、さまざまであることを示唆する一つのデータとなるでしょう。
昨日、Royal College of General Practitioners' oral contraception study(ロイアルコレッジ開業医によるピル研究)を紹介しました。
 
1968年に、英国において、開業医(GP)たちが協力して、当時25-35歳の女性、当初2万3千人づつの女性に研究参加を呼びかけました。そして参加した女性たちにおいて、ピル使用者とピル未使用者別に、健康追跡調査の結果を発表してきました。このブログでは、この論文シリーズについて、さかのぼって成績を紹介していきます。結論のみでなく、それを導き出す経過についても、考えてみましょう。
 
その結論は、35年間にわたり追跡調査を行ったところ、ピルを内服する女性の死亡は、服用しない女性に比べて、死亡率は上昇せず、全死亡もがん死亡も減少するとの結論になっています。しかし、論文を読んでいくと、いくかの問題点に気づきます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2837145/pdf/bmj.c927.pdf
 
昨日も書きましたが、1968年当初、ピルを内服する女性と、内服しない女性の同数づつに、研究参加を呼びかけました、しかし、実際に承諾してくれた人はピル群に多く、その結果、ピル群に属する女性の数が、参加人数が多くなりました。一部は、最初はピルを使っていませんでしたが、途中からピル群に、変更になった場合もあります。
 
そして、ピル群の女性の方が、年齢が若くなってしまいました。両集団の年齢補正は、年齢グループに分けて行っているようです。
 
集計の結果では、ピル群と、非ピル群とに、年齢による違い、喫煙率による違いが生じてしまいました。当初、ピル使わない人17306人、ピル使った人28806人の女性が参加しています。
 
又、参加した女性の98%が白人だったということです。
 
ピルの使用の必要性の違いから、女性の社会背景に差異が出ており、それは、結果にバイアスがかかると予想されます。集計結果から見ても、ピル群で、自殺者や、外傷で死亡する女性が多くなっていて、女性の社会背景に差異が伺われます。
 
自殺者は、ピルの内服期間が長いほど、多くなっています。そうした女性の背景に配慮して、論文を理解していく必要があります。
 
当初の研究は、1400人ほどの開業医が協力する観察研究でしたが、1976年に、英国の公的医療システムのNHSにデータが引き継がれています。当初の75%の女性の引き継ぎに成功したようです。
 
さて、もう一度、論文内容を検討してみましょう。

ピルの使用と非使用群間における、39年以上にわたる死亡状況の比較ですが、一覧表で整理されています。 
年間の参加人数に、それぞれの女性の追跡年数をかけた値は、ピル使用者819 175人、ピル未使用者378006人でした。
 
あらゆる原因による死亡率と、がんによる死亡率が、ピルの使用の有無と、どのように関係するのか検討しています。39年年間の観察後では、

ピル使わない人生存者15559人と死亡者1747人、死亡率11.2%
一方、ピル使った人では、生存者25942人と死亡者2864人、死亡率11.9%でした。
 
30歳未満の占める割合が、ピル使わない群では51.6% 、ピル使った群は、63.6%であることは、昨日に書きました。有意差が<0.001です。
 
研究者も、このピル群と非ピル群の違いに配慮して、工夫がされています。
 
すなわち、女性の年齢別にわけて、死亡との関連を出しています。
そうすると、年齢が若い層では、ピル群に死亡が多くなっています。
すべての原因による死亡は、30歳未満では、ピル使用者は、未使用者の2.85倍、30代では、1.06倍となります。
 
がんとの関係については、この研究の成果として発表された過去の論文結果を、次に書きます。
こうご期待!
1968年に、英国において、開業医(GP)たちが協力して、25-35歳の、当初2万3千人づつの女性を集めて、ピル使用者とピル未使用者別に、健康追跡調査を開始しました。
 
この長期にわたる開業医(GP)による疫学研究は、Royal College of General Practitioners' oral contraception study(ロイアルコレッジ開業医によるピル研究)と呼ばれています。そして、随時のデータに基づき、ピルの使用と、女性の健康や死亡原因との関連についての成績を発表してきました。
 
大変、息の長い研究ですが、時間がたつほど、通院する女性、診療する医師側の条件が複雑になっていきます。
 
一旦、1996年に、それまでのデータがまとめられましたが、その集計までに開業医の四分の1が辞めたり、女性が通わなくなってしまったりなどの紆余曲折な変遷がおきています。
 
それでも、追跡研究は、熱心に続けられ、データ解析が本日まで続いています。

これらのデータを見ながら、女性とピルの関係を見ていきたいと思います。
 
ピルも当初にくらべ、ホルモン量が減少し、製品も改良がされていますので、こうした影響はデータ解析を難しくするものと思います。
 
今回は、2010年のブリティシュメディカルジャーナルに掲載された論文のさわりを紹介します。
論文は、ネットで無料配信となっています。
BMJ 2010;340:c927
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20223876
 
英国の開業医によるピル研究39年間の追跡調査です。
 
ピル使用していた女性2万3千人と、使用していない女性2万3千人を募集して、観察対象としました。それぞれの群で、その後の死亡状況を比較検討しています。
 
あらゆる原因による死亡率と、がんによる死亡率が、ピルの使用の有無と、どのように関係するのか検討しています。ピル使わない人17306人、ピル使った人28806人の女性が参加しています。
 
39年年間の観察後では、
ピル使わない人では、生存者15559人と死亡者1747人となり、
一方、ピル使った人では、生存者25942人と死亡者2864人となりました。
 
年間の参加人数に、それぞれの女性の追跡年数をかけた値は、ピル使用者819 175人、ピル未使用者378006人でした。
 
このピル群、非ピル群の両群の年齢構成は異なっており、年齢差には、有意差があります。

年齢構成がどの位異なるかについては、30歳未満の占める割合が、
ピル使わない群では51.6% 、
ピル使った群は、63.6%となっています。この両群は、明らかに年齢に違いがあるのです。つまりピルを使っている群の方が、若い人が多いのです。
年齢の分布の違いは、有意差が<0.001であります。
 
ピルを使っている人は、若い人が多く、若い人は、その後、30年以上たっても年齢差は変わりません。若い人の多いピル群は、以後の死亡率を比較した場合は、有利と思います。つまり、ピルを使った群の方が、死なないというデータが、予め予想できます。

このピル群、非ピル群における30歳以後の年齢層は、
30-39歳 ピル使わない人6605 (38.2%) 、ピル使った人8712 (30.2%)
40-49 歳 ピル使わない人1747 (10.1%)、ピル使った人1748 (6.1%)
50-59 歳 ピル使わない人32 (0.2%)、 ピル使った人23 (0.1%)
 
結果は、すべての原因による死亡は、非ピル群を1とすると、ピル群は、0.98という数値です。
 
がん死亡は、非ピル群を1とすると、ピル群は0.88です。
 
しかし、心血管系による死亡は、非ピル群を1とすると、ピル群は、1.37と増加しています。
 
しかし45歳以下の人のみで、両群を比較すると、ピル群は、非ピル群より死亡が多くなっています。1より多い数値になったということは、非ピル群にくらべて、ピル群が、病気が多くなることを示します。
 
45歳以下の人に限定すると、以下の結果です。

すべての原因による死亡は、非ピル群を1とすると、
内服中止後 5年未満のピル群は、1.08倍、
内服中止後 5-9年のピル群は、1.76倍、
内服中止後 10年以上のピル群は、0.97倍となっています。
 
すべてのがんによる死亡は、非ピル群を1とすると、
内服中止後5年未満のピル群は、0.82倍、
内服中止後5-9年のピル群は、1.91倍、
内服中止後10年以上のピル群は、0.39倍となっています。
 
心血管系の死亡は、非ピル群を1とすると、
内服中止後5年未満のピル群は、2.04倍、
内服中止後5-9年のピル群は、3.8倍、
内服中止後10年以上のピル群は、21.2倍となっています。
 
これらの数値は、ばらついており、長期観察データの集計の難しさかもしれません。
 
尚、非ピル群とピル群は、喫煙率でも有意差があり、ピル群でタバコを吸う人が増えています。
 
又、長期観察の間に、他人から受けた暴力による死亡は、ピル群は、非ピル群の約1.4倍に増えており、自殺者も、ピル群で多くなっています。
 
つまり、社会的背景の違いや、年齢構成が明らかに異なる集団における比較です。こうした比較では、女性の生涯における病気のリスクを、ピル群、非ピル群で比較するのは、問題があると思われます。
欧米では、閉経後に、多くの女性で、ホルモン補充療法HRTが行われていたことを紹介しました。そして、ホルモン補充療法HRTが、発がん作用、血液凝固作用の副作用があることがわかり、今は、欧米では治療を受ける人がかなり減りました。
 
日本では、産婦人科学会が、HRTに対して好意的な立場です。いづれにしろ、この治療を選ぶかどうかは、女性が良く考えるということなのだと思います。このブログでは、HRTに対しては、マイナスの立場で情報を発信しています。本日は、女性のメンタルと、ホルモン補充療法HRTについての二編の情報をお届けします。
 
一編目は、ホルモン補充療法HRTが、メンタルトラブルを改善させるかどうか、その有効性についてです。
子宮を摘出した女性を対象に、二重盲検法を用いた検討です。
 
二重盲検法とは、本人も医師も本物の薬か、偽薬かのどちらが投与されたかわからないで、薬効を判定する方法です。
 
馬エストロゲン投与をうけた女性と、偽薬を投与された人において、メンタルトラブルを改善する効果は、どうかを調べた臨床研究です。
 
結論は、エストロゲンの有効性を示す結果は得られませんでした。それでは、効果が無かったのかというと、そうではなく、参加した女性たちのメンタルトラブルは、本当の薬(ホルモン剤)でも、にせ薬でも、改善されました。
Arch Womens Ment Health. 2011 14(6):479  PMID: 22016254

更年期の気分障害を治療するための、女性ホルモン補充療法(ERT)の有効性は、確立されていないです。
 
 この研究の目的は、閉経後の女性の気分障害と不安を改善するために女性ホルモンが有効であるかを調査することでした。ランダム化された、二重盲検による偽薬対照研究で行いました。抱合型馬のエストロゲン(CEEs; 0.625mg/日)、あるいは偽薬を、28日づつの6周期の区間にわけて投与し、症状を分析ました。
 
対象女性は、子宮摘出後に健康で、明らかな鬱病の発症は無い人です。薬使用前とその後のメンタル状態をベックうつ病調査表(BDI)とハミルトンAnxiety Scale(HAMA)を用いて、評価しました。
 
両群で、薬の投与前と比較して、BDI得点は、第1、2、3と6期で、改善しました。 投与開始から、エンドポイント評価まで、不安症状を得点化したところ、両群の症状の有意差は、投与開始後の第1期でありましたが、その後は、有効性に差をみいだせませんでした。
 
不安症状は、第3期より両群共、改善しました。 POMSスコアを用いた得点は、ホルモン群では、第1、2、3と6期に症状が改善し、偽薬群では、第2、3と6期に症状が改善しました。その結果、両群に差がなくなりました。
 
結論として、ホルモンの補充は、閉経後の女性で、気分障害や不安徴候を偽薬と比べて改善させる効果はありませんでした。

第2編目は、女性のうつと、遺伝子との関連です。

女性のうつ発症と、女性ホルモンとに関連があるのかどうかを、解明するために、遺伝子研究が行われています。
 
エストロゲン受容体遺伝子の特定部位に遺伝子形の変化(多型と呼ばれる塩基の入れ替わり現象)がある女性は、一生を通じて、うつ状態が発症しやすくなるとのフランスの遺伝子研究の成果を紹介します。
 
この論文の結論は、特定部位の遺伝子多型をもつ女性は、閉経とは無関係に、一生を通じて、再発しやすいうつ病が発症しやすくなりました。つまり、女性のうつと、女性ホルモンは、遺伝子多型レベルで関連することを証明できたとする成績です。
J Affect Disord. 2011、 PMID: 22051074
 
エストロゲンは、女性のうつを含めた気分障害MDDと関連しているだろうとの大方の予想にかかわらず、エストロゲン受容体(ER)遺伝子多型と、生涯の大うつ病の関係は、明らかになっていませんでした。今回の結果は、エストロゲン受容体ESR1遺伝子多型と、うつ発症の関係を証明した最初の研究とのことです。
 
方法: 3987人のフランスThree市に在住する65歳以上の女性において、ミニ・インターナショナル問診票を使い、疾病分類DSM-IV基準に従って、現在及び過去におけるうつ病を含む気分障害病(MDD)が診断されました。その女性の遺伝子検査を行い、病気とエストロゲン受容体遺伝子の個人差(多型)との関連を調べました。
 
遺伝子多型の検査とは、両親から受け継ぐ相同遺伝子において、塩基配列がどのような塩基配列であるかの個人差を調べる作業です。違いを持つ人に、病気が起きやすいかを調べます。
 
エストロゲン受容体アルファ遺伝子(ESR1)多型の有無を、回帰モデルで調べました。その結果は、遺伝子ESR1 rs9340799の場所において、ホモ接合(同じ塩基が並ぶ)のある女性では、生涯を通じてうつ・気分障害(MDDと略)が発症しやすくなりました。
 
うつ・気分障害(MDD)は、ESR1遺伝子にホモ接合のある女性では、それが無い女性に比べて、病気が1.6倍に起きやすくなることがわかりました。
 
さらに、この特定できた遺伝子部位rs9340799において、GG遺伝子型(Gはグアニン塩基のこと)の人は、うつ病(MDD)が、再発しやすくなるリスクを持ち合わせていました。うつ状態の持続期間や重症度との関連については、今回の研究では考慮できませんでした。