そして
この夜の父親は
本当に口数も少無く
また、いつもの
どうでもいい様な
クダラナイ冗談さえ
飛び出す事が
無かったのでした。

しかも
この様な黙ったままの
状態が暫く続いて居ると
この私の部屋の空気自体が
何やら今までに感じた事も無い
なんとも言い難い様な
不気味な雰囲気に覆われ
始めて居たのでした。

そこで
私自身もなんだか
分から無いなりにも
この様な不穏な感覚は
タダゴトでは無いと察知し
今度は少しばかり強めに
再び父親に催促しました。

「…ぉ、お父さん!
私は明日も仕事だからサ…
それに、夜も遅いし…
もう寝るから、早く出てってよ!」

すると
先程までじっとして居た
この父親は、私の追い出しの
言葉が終わるや否や
既に横になって、完全に
寝る体勢を取っていた
私の体の上に、突然
覆い被さって来ました。

そして
この父親の行動自体も
私としては、てっ切り
私に言いたい事を思った様に
言い出せないまま、この部屋を
出て行かざるを得無くなった
父親が、それでもせめて
出て行く前に言葉の代わりに
就寝前のハグでも私にする
つもりなのだと、単純に
思ったのでした。

そこで
私もそんな父親を
なだめる様に、しょうが無く
優しく抱擁をしてあげると
ベッドで仰向けになってる
私の体の上に父親も自分の体を
押し付けながら顔を埋めて
来たのでした。

それで
私自身もこの状況は
増々、父親が感極まって
声を押し殺しながら
私の胸で男泣きをして
居るのだと思ったのでした。

ところが
私に覆い被さる様にして
押し付けて居た父親の体に
段々と動きが加わって来て
しかも何故かこの父親には
泣いて居る様子も無く
なんだかその動き自体も
下から突き上げて来て
まるで楕円を描きながら
練っている様な、なんとも
怪しい動きになって来たので
そこで私も思わず父親に
声を掛けました。

「お、お父さんッ、あんた!
一体、何やってんのよッ!」

すると
父親は自分の両腕と
下半身で私の身体を抑え込み
上半身だけを起こしながら
如何にも不気味な表情で
ニャりとしました。

「ふふン…いや…ナニ…
お前がな…どれくらい
大人になったのか…この俺が…
確かめてやろうと思ってな〜!」

そう言うなり
まるで舌舐めずりをする様に
再び上半身を私の上に
被せて来て、しかも今度は
私の前開きのワンピース形の
寝巻きのホックをまるで
むしり取る様に荒々しく
パラパラと外し、そこで
私の裸の胸が曝け出されると
なんと父親はその手で乱暴に
私の胸をまさぐりながら
顔を押し付けると更に
しゃぶり付いたのでした。

「ナ、ナ、ナニやってんのよ、
お、お父さんッ !?
ちょ、ちょっと、止めてよ!
あ、あんた、自分の娘に
ナニしてんのよッ!?」

私はもう
完全にビックリして
一生懸命に抵抗して
居ましたが、しかし
大人の男の力と、また
酔って居る事で物凄い力が
出るせいか、全く歯が
立ちませんでした。

「フン…お前は、
俺の娘だからな…
だから、この俺が…
お父さんが確かめて
やってるんだよッ!」

こう言いながらも
まるで父親自身が
その言葉に興奮した様に
更に体も手の動きも激しく
なって来たのでした。

しかし
当の私としては
絶対にこんな実の父親から
いいように性的なオモチャに
されるワケには行かないので
真剣にそれこそ全身の力を
振り絞って抵抗しながら
声を出して必死に父親を
止めさせ様としました。

ところが
その様に私自身が
抵抗すればする程、父親は
それこそ全身で押さえ付け
また片手で私の口を塞いで
声が出せ無い様にし、更には
そうする事で増々興奮したのか
この行為自体がヒートアップ
して行く様でした。

この様な
緊迫した状況が
一体どの様なモノだったか
と言うと…直ぐに脳裏に
浮かぶのが、1982年の映画
『鬼龍院花子の生涯』
でのワンシーンでした。

それはまさに
主役の夏目雅子が
義父の仲代達矢に、やはり
突然、寝室の布団の上で
襲われて無理矢理
乱暴されると云う衝撃的で
エロティックな場面が
展開されましたが
当時はこのシーンが
この映画の見どころの
一つにもなって居ました。

そして
その映画の中でも
育ての娘で有る花子が
義父に襲われながらも
やはり必死になって

「お父さん、止めて!
お父さん止めて!」

と云った様に
悲痛な表情で声を出して
義父の行為を制しながら
堪えて居る姿が如何にも
艶かしく、まさにその必死に
抵抗して居る表情や声に
更にその義父が興奮して
行った様子までが
描かれて居ました。

この様に
トンデモナイ事態に
見舞われた私自身は、実際
こんな状況下に居ながらも
不思議な事に、この悲惨な
情景をどこか自分自身とは
離れた所で見始めて居て
しかも勿論、この父親に
乱暴される事を必死に
抵抗しながらも、何故か
俯瞰して居たのでした。

こうして
この父親に抵抗しながら
私自身も、ふとそんな
俯瞰の状態で居ると
なんだか父親からも、やっと
スキが出来たと思われたのか
この父親の怪しい手の動きは
胸だけには留まらずに
増々エスカレートして行き
今度は私の下半身の方にまで
手が伸び始めて来る様な
そんな勢いまで感じました。

これには
さすがに私自身も
「まさか、そこまでするか?」
と本気で驚きましたが
しかし、この父親はもう既に
人間の枠を越え、更に
こちらが力では抵抗出来ずに
反撃しない事をいいコトに
完全にやりたい放題で
まさに犬畜生にも劣る様な
行為に及んで来た事を
私も実感したのでした。

そしてまた
「本当にマズイ事になる前に
なんとかしなくちゃな…」
と私自身も完全に
本気になりました。

ところが
なんと云っても
この父親自体が少なからず
酔って居ると云う事も有り
本人がこの様な理性に欠ける
トンデモナイ行為をして居る
と云う事が冷静に受け止め
られ無いのか…
或いは、生まれた時から
自分のモノだと思い込んで居る
この私の事を、その酔いを
隠れ蓑にして、後先の事も
考えず、ここぞとばかりに
思いっ切りナンデモカンデモ
好き勝手に目茶苦茶にして
しまおうと云った、まさしく
狂気の沙汰なのか…
と、この様に私自身
冷静に考察した結果
やはり、コレは後者の
『狂気のモンスター』
そのモノで有ると判断しました。

そこで
例えこの父親が
自分の顕在意識では
認識出来て居ないとしても
潜在的にはこの様な、まさに
キチガイじみた思考が存在し
それがこの様な行為となって
ハッキリと現れた事で
私としては、この父親が
この場で私に対して
行って居る事自体を
理解したのでした。

とかく人間は
自分の知らない事や
理解出来無い様な
現象や物事に対して
当初はどう対処していいのか
分からずに躊躇したり
或いはまた、自分のせいかも
知れないと感じ、恐れの感情が
浮上して来て、全く手も足も
出ない状態に陥る事が有るので
私はまさにそれをここで
体現して居る様でした。

そして
ここでの私の失敗は
なんと云っても、この哀れな
父親へのシンパシー…同情が
私自身の哀れさと共鳴して
父親の潜在的な闇を見抜けずに
この様な不穏な目的を察知する
事が大幅に遅れてしまった
と云う事でした。

しかし
こうして、この夜の
父親自身の分析を終え
その行為自体の目的も既に
理解が出来たので、後は
どう対処するかと云う事だけ
でしたが、それに就いても
私なりには、なんとなく
既に分かって居た様でした。

とにかく
この父親は、この様に
自分より二回り以上も若い
女の体を貪り、それがまさに
自分の実の娘となれば
それこそ刺激的なコトこの上無く
しかも、この父親のまさしく
鬼畜同然の様な所業は
寧ろ嫌がって必死に抵抗する
女を無理矢理に乱暴して
肉体的に自分のモノにし、更には
精神的にも支配したいと云う
明らかに野獣そのモノで有り
コレがこの父親にとっては
最も卑猥で刺激的な、しかも
密かに行なうハンターゲーム
の様なモノだったのでした。

そして
この様に理解すると
まるでこの気が違って居る
父親のシナリオ通りに
この状況が落とし込められ
私までがその様な状態を
無理矢理、演じさせられて
居るのだと感じ始めました。

そうなると
なんだか私には
この状況自体が、まさに
茶番劇の様に思われて来て
それこ先程のシリアスな
感情や感覚さえもどこかへ
消え失せて行き、また
それまで藻掻く様にして
父親の乱暴に抵抗して来た
自分自身の体の全身の
力までが抜け落ちて、突然
全身がダラ〜ンとすると
抵抗するのも止めました。

すると
父親は一瞬
ハッとしましたが
しかし直ぐに、やっと私が
観念して父親の思い通りに
体を弄ばれる事を受け入れる
気になったと思った様でした。

ところが
私自身はこの様に
全身の力を抜いた途端
この状態の余りの滑稽さに

「コレはマンガだな…
いや…完全にギャグだワ!」

と云った感情が起こり始め
しかも、そう思った瞬間
なんとも言えず笑いが
込み上げて来て居て、とうとう
堪え切れずに私自身、声を上げて
ケラケラと笑い出しました。

「キァッハハハハ〜!
あのさ~さっきから…
あんた、ナニやってんの?
アッハハハハ〜!」

そこで
父親はギョッとして
私の顔を見ました。

「な、なんだお前!
き、気でも違ったのかッ!?」

「へ !?…
き、気でも違ったかぁ〜?
キャッハハハハ!
ナ、ナニそれ…
あんた、ホンキで言ってんの?
アッハハハハ〜!」

こんな
まさにキチガイの所業
極まりない様な父親に
『気が違った』と言われた事で
更に可笑しさが増したのでした。

「ぉ、おい…お前ッ! 
いつまで笑ってんだ、笑うな!
ちゃんとマジメにやれッ!」

すると
この父親は突如
怒りの形相になり、少しばかり
声を荒げて来ました。

そこで
私自身としても
この鬼畜の様な父親を
ヘタに怒らせては、更に
面倒な事になると思い
笑いも少し控え目にしました。

「へ?マジメにィ〜やれェ?
ヒャ〜ハハハハ…
そんなの無理だね!
だって、だってサ…
さっきから、くすぐったくて…
アッハハハハ!」

「バ、バカヤロー!
お前には、コレが…
まだよく分らんから、
そんな事を言うんだ…
だから、こうして…
俺が教えてやるんじゃないか…
だからもう、笑うな!」

この父親の言葉を聞いて
なんだか自分の全身の気が
段々とお腹の下の方…丹田に
下りて行くのを感じました。

こうなると
私自身はこの父親が
知りもしない、また敢えて
知る必要も無い私の闇時代…
嘗て高校で全校生徒や
教師達から最も要注意の
不良生徒として皆んなから
避けられて居た、まさに
あの当時の様な腹の座った
凄味の有る雰囲気さえ
漂い始めたのでした。

「へぇ〜…そりゃ面白い…
それじゃぁ、オヤジ、
やれるモンなら、やってみなッ!」

私はベッドの上で
両手、両足を広げて
大の字になり、ギロリと
鋭い目つきでこの父親を
一瞥したのでした。

「え?…や、やれって…
い、いいのか…やっても?」

「フン!…その返し…
覚悟は出来てるんだろな!」
 
「…か、覚悟…って…何だよ!?」

「そりゃ、あんた…実の娘に…
そんなコトまでして…
まさか、ただで済むとでも
思ってんじゃ無いだろなぁ!?
…だろぅ、オヤジぃ!?」

「か、金か?…金なら無いゾ!」

「フンッ!下らん…
金なんか目じゃ無いよ!」

「じ、じゃぁ…何だよ…?」

そこで私は
この父親の下半身をジロッと
見ながら、不吉な薄笑いを
浮かべました。

「なぁに…そりゃあ…
あんたがぶら下げてる
ソレを…チョキンとサ、
切らせて貰うダケだよ!」

「え!? ナ、ナニ言ってんだ、
お、お前…冗談はよせ!」

「いやぁ…ホンキも本気!
あんたが酔っ払って寝てる
ところをチョキンとね…
切らせて貰うダケだから…
大丈夫、お母さんの洋裁用の
デッカイ裁ちバサミで
一気にチョキンとやるからサ!
多分、酔ってれば痛く無いよ…
それにサ、直ぐに救急車も
呼んでやるから、心配すんなって…
大丈夫、大丈夫、そんなんじゃ
死にゃしないって!」

「バ、バカヤロー!
ふざけんな…そんな事
ダメに決まってるだろッ!」
 
「な〜んだ…ツマンネぇの!
せっかくのチャンス
だったなのになぁ…
きっとサ、今まで、あんたに
泣かされた女達も喜ぶよ〜
いっその事、そこの急な階段から
思いっ切り突き落としてやろうか?
そしたら、気絶したところを…
チョキン!ってのはどうだ…?
だからサ、あんたがアタシに
本気でそんなコトをすれば
こっちも正当防衛ってコトで…
当然、警察にもそう供述するし
万事うまく行くんだょなぁ…
ったく…面白い事になるのに…
しかもサ、こっちもカラダ張って、
やっていいって言ってるんだゼ…
ただ切るワケじゃ無いのになぁ〜
ホント…根性無しだな、オヤジ!」

「ナ、ナニが正当防衛だ、
それに根性が無いだとぉ〜!?
お、お前の言ってる事は
絶対に可怪しい!」

「ほ〜ぅ、さっきまで
このアタシにしてたコトは?
散々いいようにしてくれたよなぁ〜
ソレは…可怪しく無いってのか !?
それじゃぁ、筋が通らないだろッ!
ったく、アホか…ギァッハハハハ〜!
…あのさ~、あんた…やっぱ
なんか、勘違いしてんじゃ無い?
だってサ、悪いケド…
あんたがやりたがってる
そんなコトは、こっちは十分に…
それこそお釣りが来るぐらい
経験済みなんだよッ!?
だから…あんたにイチイチ、
大人になったか?とかって…
そんな下らないコトを
今さらここで確かめて貰う
必要なんか、全く無いし…
おととい来やがれだッ!
フン!そう云う事だ…
分かったかッ…オヤジぃ!?」

こうして私は
この様に言いながら
寝巻きのホックをちゃんと
止め直し、上半身を起こして
父親とは反対側のベッドの端に
両足は少し広げて床に付けて
深く座りました。

そして
その時には自然と
背中は少々丸め気味で
両膝の上に両肘を置き
まるでヤクザ映画で見る様な
相手を威嚇する様なそんな
ポーズを取って居たのでした。

こうして
丹田に気が下りると
私の声のトーンも低くなり
話す内容や態度、それに
雰囲気までが、それまでとは
全く変わってしまうので
その変貌ブリにこの父親も
少しは動揺し始めた様でした。

「ぅ゙ッ…ひ、必要…無い…!?」

「あぁ、そうだよ!
全然、必要無いッ!!
それにサ…あんた…年寄りで
ジジイだし、ヘタだからサ…
こっちは、くすぐったくて、
しょうが無いのを、さっきから
我慢してたダケなんだよ!
…ったく…とんだ迷惑だな…」

「ぅ~…そ、そう…なのか…」

「さぁ、もう分ったら、
いい加減、邪魔だから…
さっさと、この部屋から
出てってくんないッ!?
それとも…大声出して
大暴れでもしようかぁ?
周り近所が起きて来るよッ!?
なァ、あんた、こっちが大人しく
してる内に、早く出て行きなよ!
フン!…ったく…これ以上
怒らせんなよ、オヤジッ!」

私がこの様に
可なり語気を強めて
言い放つと、父親は直ちに
座って居たベッドから
立ち上がりました。

「ぁ…お、お前…悪かったな…
じゃぁ…俺は出て行くから…
あ…あのな…このコトは…
母さんには言うなよ!」

そう言い残すと
そそくさと部屋から
出て行ったのでした。

この様な
父親の言葉を聞いても
怒りが湧き上がると云うより
まさに呆れて物が言えない
と云った状態でした。

そして
この父親が余りにも稚拙で
決して今生では無明長夜を
超えられ無いだろうと思うと
つくづく哀れみさえ
感じて居たのでした。




続く…


※新記事の投稿は毎週末の予定です。

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