街づくりの現場で子供への環境教育が広がっている。

森ビルがアークヒルズ(東京・港)で開いた「環境とみどりのヒミツ探検スアー」のきっかけは

都内の小学生が描いた“4本足”の鳥だった。

「都心に暮らす子供にとって鳥や植物が遠くなっている」と感じた主催者が、親子に自然の

色やにおいを体感できる場を設けたのだ。


三井不動産は川崎市の小学校で5年生の児童たちに再生可能エネルギーやスマートシティ

の出張授業をした。

「コーヒーとパン、バナナ入りタピオカジュース、おにぎり、食卓にくるまでに二酸化炭素(CO2)

を多く出したのはどれ。」

講師の質問に子供たちが一斉に話し合う。答えは、コーヒーとパン。

身の回りでCO2を排出するものはどんなものかをクイズ形式で教えていく。


「使っていないコンセントを子供が抜くようになった」と親からの反応も上々だ。

CO2は普段の生活では見えない。

意識する習慣を教え込むことで、スマートシティーを使いこなす世代を育てる狙いがある。

出前授業は都内や千葉県柏市の小学校でも実施する。


柏市でスマートシティーの開発を進める三井不動産は住民の自発的な省エネ行動を期待する。

生まれながらにして省エネが当たり前になる世代。

そんな日が訪れるまで地道な啓蒙活動は続きそうだ。


(記事参考:日経産業新聞 9/8 サーチライト)

森永乳業は製品の輸送手段をトラックから鉄道へ切り替える「モーダルシフト」を広げる。

今年度から東北-近畿間で業務用食品の鉄道輸送を始めたほか、関東-九州間の鉄道輸送を倍増する。

2015年度中には東北-九州を全て鉄道輸送にする。

二酸化炭素(CO2)を削減し、運送業界の人手不足をにらみながら環境とコストを両立する。


森永乳業の盛岡工場(盛岡市)では子会社のクリニコ(東京・目黒)が手がける流動食などを生産して

いる。

今年4月に同工場から近畿の物流拠点への業務用食品の輸送をトラックから鉄道に変えた。

10年1月からは福岡市などを中心に九州へ流動食を運ぶ際にもJR貨物を使っており、13年度は

盛岡-九州間でトラック200台分に相当するコンテナ約500基分を鉄道で運んだ。

業務用食品も約60基分を鉄道輸送した。


流動食は業いにゃ介護施設で使われており、品質を維持する上で、温度管理が必須となる。

気温が上がる夏場は冷温が保証できるコンテナの確保が難しく、盛岡-九州間の鉄道輸送は

これまで10月から翌年5月にわたり実施していた。

コンテナの改良が進んだことで今年6月から夏季の鉄道輸送を始めた。

15年度は夏季に約200基分の輸送を計画する。

同区間の鉄道輸送は現在6割だが、15年度中に100%にする方針だ。


13年4月から粉末クリーム「クリープ」など一部商品を鉄道輸送にした関東-九州も年間でコンテナ

100基分に倍増する。

原料輸送を中心にトラックから船へモーダルシフトも随時進めていく予定だ。


06年に施行された改正省エネルギー法で荷主企業には省エネ対策の推進が求められている。

鉄道輸送はトラックに比べ、一般的にCO2排出量が約1/8になる。

最近では長距離ドライバーが確保できず目的地以外の物流拠点で一時保管する事態も起きている。

現在、盛岡-九州は通常ならトラックで2日、鉄道だと3日かかり、早さやコストで差が縮まっている。


(記事参考: 日経産業新聞 9/5)


イオンと花王は商品の鉄道輸送で連携する。

まず東京-福岡間の物流で通常の3倍弱の大型コンテナを手配し往復で交互に使う。

積載効率が高まり物流コストが1割弱下がるほか、トラック輸送に比べ二酸化炭素(CO2)排出量を

減らせる利点がある。

小売業とメーカーが鉄道輸送で連携するのは珍しい。


国内貨物輸送の9割を担うトラックは、人手不足と燃料価格の上昇で運送料の引き上げが

相次いでいる。

イオンは花王のほか、キリンビール、ネスレ日本など大手食品・日用品メーカー17社と鉄道輸送拡大

へ研究会を設けている。連携はさらに広がる可能性がある。


4日から東京・品川-福岡の約1200㎞の鉄道区間で大型トラック1台分に相当する31フィートコンテナ

(可能積載量13.8トン)を共同利用する。


花王が神奈川県で製造した日用品を九州に運び、イオンは福岡県で製造委託したプライベートブランド

(PB=自主企画)飲料の首都圏への輸送に用いる。

共に同区間で年600~700トンの商品輸送を担う計画だ。

輸送量が多い東京-大阪間なども大型コンテナの共同利用を検討する。


イオンは、他の大手メーカーとも700㎞以上の長距離物流での連携を視野に入れる。


(記事参考:日本経済新聞 9/4)