120 特別エッセイ 

        「羽田COLLISION」

海上保安庁ビーチ350エトピリカJA861A(20180720-1513)

 

能登半島地震及び羽田空港衝突事故により亡くなられた

ペットを含む全ての生き物たちの命に

心より哀悼の意を捧げます

 

今回は古い海上保安庁機を中心にお届けします

うわあぁ♪ビーチE18Sだ

海上保安庁って今はJCGだけど昔はMSAだったんだよ

あとは自分で調べてね(不親切なブログ♬)

 

合わせて

災害にあわれた皆様にお見舞いを申し上げます

 

MSA時代のJA8819

この頃JA8816とともに千歳に配属されてた

(1986年千歳基地航空祭にて)

 

衝撃

1月2日夕、普段はめったに見ないTVです

元日に発生した「能登半島地震」が気になり

ニュース番組をスキャンしていたところ

突然!画面が切り替わりました

日没後の空港です

日本航空の旅客機から炎が見えます

 

千歳飛行場RUNWAY36Lに着陸進入中のJA8816

(1988年頃らしい!?ごめんね(_ _;)いい加減なの)

 

羽田空港でJAL機が炎上しているとの速報でした

航空知識に疎いアナウンサーよりも

JAL機がエアバスA350であり

エンジンの下方が潰れていること

および機体が前方に傾いて見えるので

脚にダメージを負っているらしいこと

後方の客室ドアに脱出シューターが降りていたことから

緊急脱出が行われたらしいことなどが推測できました

 

MSA時代のビーチ200T(JA8816)

千歳基地航空祭展示のため滑走路を自走横断してきた

 

もどかしい時間が過ぎていく中

空港カメラに捉えられた映像が再現されました

着陸滑走中のJAL機が、突然激しい火花を散らし

炎上しながら惰性で滑走している姿でした

「滑走路上に何かがいたな」

JAL機が原型をとどめているところから

当初は車両ではないかと想像しました

 

上の写真のたぶん続きと想われる

プロペラが無い貴重な写真?? 

回っているだけだろうな

 

衝突

日本航空JAL516便は、羽田空港C滑走路に着陸後

滑走路上にいた海上保安庁機DHC-8ーQ300に激突

海保機は中型のプロペラ機です

通常の任務は海上パトロールですが

この日は能登半島地震の被災地へ

物資を運ぶ任務を与えられていました

大型旅客機A350は海保機を弾き飛ばしながら

自らも相当なダメージを負い

焼損する大事故となりました

 

雨の日の航空祭は悲しい

千歳ではかつて毎年雨が続いたこともあった

C-5の翼下で雨宿りしてた記憶がある(泣)

 

滑走路

離着陸する航空機及び管制官にとっても

滑走路がクリアであることは大前提になります

到着機がクリアな滑走路に着陸したあと

出発機が同じ滑走路に入って待機

到着機が滑走路をクリアしたら離陸滑走開始

出発機が完全に離陸したら、次の到着機が着陸

世界中の大空港では日常の業務です

ときどきドキドキさせられながらも

毎日繰り返される安全運航

航空事故に会う確率は

宝くじに当たるより難しいと云われています

 

1994年の千歳基地航空祭(JA8819)

海保の人たちがリクルートに気合が入ってる

 

航空管制

管制官は複数の出発機に対し離陸順位を通報しつつ

滑走路手前での待機を指示しています

出発順位はパイロットの目安となる有益な情報です

到着機にも当然順番を通報することもあります

そして滑走路がクリアになったと判断し

JAL516便に着陸許可を発出しました

 

 

千歳基地航空祭当日朝自走でやってきたJA8819

手前は多分米空軍A-10Aの翼

 

滑走路監視支援システム

空港面監視レーダーや航空機等からの信号を受信し

地上の飛行機や車両の位置をディスプレイ上で監視できます

現状あくまで補助システムであり(たぶん)

忙しい管制官が1分近く目を離す可能性はアリアリです

雪や霧など視界不良時は極めて有効ですが

このシステムをガン見してたら

「外を見ろ!実際の飛行機を見て管制しろ!」と

怒られること必定です

 

1991年千歳基地航空祭に展示された海保のビーチ200T「ピリカ」

 

緊急脱出

ペットを除き、脱出成功は奇跡と言える僥倖でした

CAさんを中心とした乗務員のプロフェッショナリズムや

多くの乗客の方々の

日本人的生真面目さによる

整然とした脱出行動も褒め称えられるべきことです

 

1996年の海保機

手前米軍機や海上自衛隊にビーチにはさまれている

 

過去事例のように

船長や乗務員が真っ先に逃げ出したり

乗客がパニックに陥り出口に殺到してたら

大惨事になっていたことでしょう

 

上と同じ機体を尾翼中心に

最奥にT-1やRF-4Eなんかも見える

 

過失???

飛行機は日中でも衝突予防のため

いろいろな燈火を点けています

スーパーコントローラーやらハイパーパイロット

あるいは偶然

ありえないはずの海保機の存在に気づけた可能性はあります

しかし、全ては後出しジャンケン

当事者である航空関係者には

山ほどの反省材料があったとしても

手順に誤りはなく

管制官やJAL516便のクルーに過失はありません

 

千歳基地航空祭にてJA8819

奥に陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターAH-1Sが見える

(19970810-JA8819)

 

海上保安庁機

飛行機には重量等によって離陸滑走距離が定められており

その基準内であれば、滑走路の全長を使用しなくとも

中途の誘導路から

インターセクションディパーチャーという

離陸方式を選ぶことができます

 

千歳基地航空祭にて(年不明)

ビーチ350に機種更新して「えとぴりか」になった

 

 

海保機は、大型の先行出発機がいましたが

C5誘導路からの

インターセクションディパーチャーを要求していたため

C5までの走行指示と、災害派遣任務を考慮したのか

出発順位ナンバー1を告げられました

その感謝が「THANK YOU」という応答なのでしょうか?

 

これも撮影年不明のMSA-JA868A

調べりゃすぐわかりそうだけどね

左奥になつかしいレスキューカラーのバートルV-107、割りと好き♥

 

ナンバリングあるいはシーケンシング

世界中の航空管制では日常的に使われており

滑走路使用許可とは全く別な情報という認識です

衝突事故が起きていない事実が

今まで問題にならなかったことの証明でした

 

「ピリカ」と「エトピリカ」の揃い踏みだ!!!

実任務があるから海保機が2機も展示されたのは珍しい

 

しかしながら

災害派遣任務を背負った海保機の機長は

旅客機の合間を縫って優先順位を与えられた

なるべく早く離陸しなければならない

誤った想いにかられてしまったのでしょうか??

クルー員たちはどこまで状況を知っていたのでしょうか?

 

 

JA8829の千歳在籍は多分短期だったと想います

 

どこからが基準か判りませんが

滑走路上で40秒間というのは

離陸操作としては長いような気がします

滑走路に入って離陸許可待ち・・・

そう思い込んでいたのでしょうか?

 

千歳基地航空祭に地上展示された海保のビーチ200T

(19980809-JA8816)

 

海上保安庁機以外にも羽田には航空局の飛行点検機なども常駐してる

これは国産旅客機YS-11を改造したJA8820

 

JUST CULTURE

航空または医療の現場でよく使われる言葉です

ごく一般的な手順でごく一般的に行われた業務において

万が一事故が起きてしまったとき

原因究明は

過失を追求するためではなく

再発防止のために最善を尽くす

というのがかなり大雑把な大意です

 

滑走路へ誤進入したと想われる海保機と同じ

DHC-8-300(JA723A)

カナダ製の機体だ

 

今回の衝突事故の場合

管制官とJAL516便のクルーには

反省材料はあっても過失はありません

そして海保機においても

なぜ滑走路に入ってしまったのかは調査対象ですが

求めるものは

滑走路への誤進入防止を防止するためには

誤進入してしまったことにいち早く気づくためには

誤進入に気づいた後の最善の対処方法は

などであってパイロットを責めてはいけません

 

 

千歳基地航空祭に展示されたJCGのJA724A「おおわし」

(20170723-09:58撮影らしい?!)

 

空中においては航空機同士が信号を出し合い

回避動作を指示するなどTCASあるいはACASと呼ばれる

衝突防止装置の搭載が義務付けられています

これを地上(滑走路上)の航空機にも適用する技術

 

2019年9月17日に撮影した海保機と千歳基地のF-15

 

あるいは管制室(管制塔)においても

滑走路上に航空機または車両等を感知した場合

積極的に管制官へ助言または警報を与えるシステム

及び踏切のような物理的あるいは電磁的になど

滑走路への進入を遮断するシステムなどが

今後、取り入れられて行くことになるのでしょう

 

2020年2月20日新千歳空港ターミナルに現れ

10:00ちょうどに撮影したことになっている

JALのエアバスA-350-900に機種部

操縦席窓の黒のフチドリがヨーロピアンでおサレ♪ 好き♥

 

報道

今回の報道を流れを見る限り

700年前あるいは江戸時代と変わらぬまま

過失追求姿勢に偏重しているように想えます

それが、大衆の求めているもの

という思い込みから逃れられないのでしょう

 

新千歳空港に着陸したスカイマークと誘導路をスポットへ向かうANA

ともにボーイング737

スポットにいるのがJALのA-350

現状ペットなどの生き物はほとんどの航空会社が

貨物または手荷物扱いになって

環境劣悪な搭載エリア(暗いよ~、狭いよぉ~)に置かれる

客室同乗も進められてるけど緊急脱出時に連れて行けるかは

今後の課題となってくる

最悪逃げ出したペットに喰い殺されても

「人間てその程度の弱い生き物なんですよぉ~♫」 って

共生できる環境が必要だな

 

警察や検察も似たようなものです

江戸時代においては

だれかれ拷問して自白させ処刑するということが

当たり前のように行われていたそうです

自白偏重主義と犯人を作り出してしまう冤罪体質は

多少改善されてきましたが

あまり変わっていない風です

 

国境・領海あるいは海難から護るため今日もパトロール

多くの人が知らないところでなにげにガーディアンな人々がいる

(2020061713:57頃...たぶん)

 

安全

どんなに厳重な安全対策を講じていても

人はミスを犯し、機械は壊れ

システムはエラーを起こし

天変地異は必ずやってきます

まるでスラロームのようにすり抜けて

事故は起こるものです

想定外のことが起こりうることを

想定しておくのが真の安全管理者です

「今度はそうきたか!」 ってなもんです

 

夏の熱気の中ブリーフィングをするJCGのクルー  かな?

日常のルーティンの中で安全が保たれている

でも・・・

不測の事故はそこをすり抜けてしまう

安全は決められた手順の繰りかえしだ

 

想い

事故をなくすことはできません

平和や安全は、たまたま戦争や事故の起きていない

一瞬(つかの間)の状態なのかもしれません

 

新千歳空港を離陸し内地!(本州以南)へ向かう

JALのA350X

割りと新鋭の機体で安全性能はかなり高い

けど

事故からは逃れられない!

複合材が火災から消えにくいことも判明した

 

昨今の政治家もどきの金狂い

とてものことに彼らを政治家とは私は呼べません

ボーイングやダイハツ・トヨタなどの体たらくを見るにつけ

文明は絶賛衰退中と言って過言ではないでしょう

マスコミは厳しく追求してほしいものです

正しく伝えようとすることが報道の努めです

 

アフターバーナーを炊いて離陸するF-15DJと海保のDHC-8

(20230725撮影)

 

追求するには知識が必要です

犯罪や悪意あるいは怠慢による過失は断罪されるべきです

しかし

安易な過失偏重報道は、学ぶことを放棄した

ウケ狙いのむなしいワル目立ちに過ぎません

 

新千歳空港ランウェイ19Lに着陸進入するJALのA350(JA04XJ)

航空事故に遭遇するのは

宝くじに当たるよりはるかに難しい

それでも

事故は必ず起きます

想定外のことは必ず起きます

想定外を言い訳にしてはいけません

 

報道が面白おかしくエンタメ化してしまう風潮は

江戸時代以前からなにも変わっていませんが

もっと勉強してほしいな

正しい報道をしてほしいな

いつも想っています

 

能登半島地震及び羽田空港衝突事故において

対処されたすべての人々に

感謝と称賛の言葉を贈ります

ありがとう