《迷宮雑話04》

◎ホンモノとニセモノ(2007年10月 2日)   
   
 角川oneテーマ21という新書のシリーズで中島誠之助著『ニセモノはなぜ、人を騙すのか?』と云う本を読んでいます。
 著者はテレビ東京の人気番組「開運!なんでも鑑定団」に出演している鑑定士の方。

 本のテーマは古美術・骨董のホンモノとニセモノについての話。この世界に興味の無い方でも楽しく読める内容の本です。

 著者は、長年の経験と勘で一瞬にしてホンモノとニセモノを見分ける。時には、箱の中から出される前に(実物を目にする前に)真贋を断定出来る事もあるそうです。
ホ ンモノと云われるモノを目の前にしても何故か「しっくり来ない」。つまり、ニセモノである・・・・・これを、世間では「勘」と言う。
 ホンモノと殆ど遜色の無い完璧なニセモノを目の前にした時にはたらく「違和感」。これは理屈では説明出来ない。剣道の高段者が正確に相手の動きを予測出来るのも、経験と修行によって培われた「勘」であり、理屈で説明出来ない類の感覚であろう。

 達人とは程遠い私達でも、この様な「勘」を日常生活で働かせている。
 顔つきや表情、声や話し方等によって相手の人柄を推測する。理由は説明出来ないけれど「なんとなく」相性が悪そう・・・そういった印象を受けた場合の的中率は可成り高いはず。
 若い頃、悪さばかりしていた人は、中高年になっても顔つきになにがしかの痕跡が残っている。理由は説明出来ないけれど「なんとなく」そんな印象を与える顔つきの人はほぼ90%「元ヤン」

 自身の勘の的中率を高め、100%に近づける為には、矢張り「修行」あるのみ! 

《迷宮雑話05》

◎順化(2007年11月27日)   
   
 セイタカアワダチソウ(以下略してセイタカ)と云えば帰化植物で、丈が3メートル以上に成長、天辺に黄色い花をつける。

 このセイタカ、一時は日本の在来種を急激に駆逐し、その繁殖力の強さを誇った。
 ススキなどもセイタカに生存の場を奪われ、一時は絶滅してしまうのでは、と心配されたらしい。
 ところが、最近はススキとセイタカが仲良く共存しているところを良く見掛ける。ススキと共存する為に身の丈を1メートル前後に小さくして遠慮している様にも見える。これを、帰化の次の段階=順化=というらしい。

 生命力・繁殖力でススキを圧倒してきたセイタカが、何故、後になって共存(=順化)の道を選択したのか?
 考えられる理由を(非科学的ではあるが、植物に感情移入をして)以下、箇条書きにしてみる。

①ススキを絶滅させるより、共存の道を選んだ方がメリットが有るから。
②強者セイタカの余裕、敗者ススキへのいたわり。
③ススキの生命力が強化されセイタカと互角に戦える様になった結果。
④ススキの「徳」が、セイタカの改心(=順化)を促した。

 植物に心があるか否かについては不明だが、自然界に於いても、人間社会に於いても、「弱肉強食」「適者生存」等の進化論的法則が常に当てはまるとは限らない。
 ノイマンのゲーム理論によれば、利他的行動をとった方が、自己中心的行動をとる者よりも生き残り、繁栄すると云う。

 題名は忘れたが、「人間は他の動物に補食される事で進化した。ヒトが進化したのは他の動物に=食べられた=からである」という新説をテーマにした本が出ていた。とても興味深く、中身が気になったが、結局買わなかった。内容をご存知の方がいたら、判りやすく解説して下されば有り難いのですが・・・。 

《迷宮雑話06》

◎己を滅ぼす強さはいらない(2010年10月26日)  
   
 エイズにしても鳥インフルエンザにしても、その猛毒性は年月を経て徐々に弱くなってきているそうだ。
 宿主である動物を殺してしまうとウイルス自身も死滅してしまう。だから、なるべく宿主を殺さない様に毒を弱くして宿主と共生する戦略をとっているらしい。

 強すぎる攻撃力で敵を殲滅し、最後に自身をも滅ぼしてしまう。だから、ウイルスは徐々に弱くなる方向に<進化>しているのだ。

 植物の世界を見てみると、外来種のセイタカアワダチソウは、過去の一時期、日本の在来種であるススキを駆逐していたが、最近では、仲良く共存する様になった。これを、「進化」ならぬ「順化」と呼ぶそうだ。

 弱くなる事で周囲と共生する・・・これは最も賢い自然界の智恵といえる。
 人間は賢い様で、実は、ウイルスや雑草よりも愚かなんだなぁ。