◎ヒトの生死と季節・気候

 前回、少しだけ触れた「死亡と気候・気象・潮汐などとの関係」と云う論文では、季節や気候がヒトの生死に影響すると云う結論を出している。以下、論文の内容を纏めてみた。

<気圧・気温と死亡率>

①気圧下降中には気圧上昇中よりも死亡率が上がる
②悪天候の日は好天気の日よりもやや死亡率が上がる
③気温上昇経過中に気温下降経過中よりもやや多く死亡している
④気候的に高圧・低温の冬に死亡数が多い
⑤気温の前日比別死亡率では、全日より大きく上昇した日に死亡率が高い。
⑥老衰死では、気圧・気温ともに変動の大きい日に死亡数が増える。
⑦癌は気温最低極日に死亡率が高くなる。他の病気も気温最低極の日にやや死亡率が高まる傾向がある。

<季節と死亡率>

①死亡数は極寒時の11,12,1,2月、特に1月に多く、暖候時には一般に少ないが梅雨期の6月と酷暑の8月にはやや多くなっている。
②卒中死,老衰死,成人病死が冬に特に多く、呼吸器病死も冬に多い。
③癌死は春秋に少なく、冬と夏,特に6月,8月に多い。
④同じく、夏に死亡数が多いものとしては消化器病死と事故死、自殺がある。自殺も大体は夏に多く、特に梅雨時の6月に多い。
⑤成人病死は全般的には冬に多いが,3寒4温で温度変化のはなはだしい3月と10月,梅雨時の6月,炎暑の8月にも多く、さわやかな気候の4月,9月と温度の安定している7月に少ない。
⑥呼吸病死も冬に多いが、朝寒を感ずる4月に老人の肺炎死亡者が多い。