【022】「目」で技を掛ける(210809)
互いに見詰め合う事で親愛の情を確かめるのはヒトとイヌくらいだそうだ。
それ以外の動物の場合、「見詰める」という行為は、敵意や攻撃を意図しているものと解釈される。
例えば、野良猫はヒトと目が合うと、慌ててて逃げてしまう。
飼い猫が主人に対して、目を細め、ゆっくりまばたきをするのは、飼い主に対する愛情表現なのではないかという説がある。ヒトが愛猫を見つめて、ゆっくりとまばたきをすると、愛猫はしばらくして同様の「ゆっくりまばたき」を返して来るそうだ。
目には、思いのほか力がある。
見詰め合うだけで心を読んだり、心を伝えたりは誰もが日常で経験しているはずだが・・・見詰めるだけで、相手を動けなくしたり自在に操ったり出来る人がいても不思議ではないし、現にそのような逸話は武術の世界にも残されている。
ヒトに見詰められると体が固まって動けなくなる動物がいると『動物催眠術』の本にも書いてあったと記憶する。
明治時代に流行した霊術の中にも、しばしば登場する「心力波及術」。
「心力波及術」というのは、見詰めた相手(ヒトや動物)を自由に操作する術。背後から人の背中をジッと見詰めると、視線に感応した相手が振り返る。これが心力波及術の初歩の実験として紹介されている。
視線を逸らす事で、相手の注意力の方向を自在に操作するマジシャンのテクニックは武術にも、即、応用可能。
目ヂカラや視線の使い方は、まだまだ奥が深く、研究に値する分野だと思う。