【007】五感を統合する訓練(100930)

 文字や数字に色がついて見えたり、音に匂いを感じたりする共感覚。
 共感覚は五感が未分化の状態。たいていの人はキチンと五感が分化している。この分化した五感を再び統合するとどうなるのか?

 例えば、海や砂浜の写った写真を「見る」。
 その時に、波の音を「聞く」、潮の匂いを「嗅ぐ」、潮風を肌で「感じる」、そんなイメージを臨場感を以って瞬時に想起出来れば、その人は五感が統合された人と言えるかも知れない。
 この例の様に、視覚情報が聴覚情報・嗅覚情報・皮膚感覚情報に瞬時に翻訳される様な、「五感の相互自動翻訳機能」は野生の動物にはごく普通に備わっているものだろう。

 「五感の相互自動翻訳機能」が衰えた文明人は、危険な状況に遭遇しそうな時に、「寒気を感じて鳥肌が立つ」などの身体感覚への翻訳が瞬時に出来ない事がある。

 五感を統合する為に最も有効な訓練は何だろうか?

 それは、小説を読む事。物語に登場する人物の姿や声を見聞き、登場人物の体験を自らの身体感覚を以って追体験する・・・豊かなイメージ想起力が五感の統合(五感の相互自動翻訳機能)を形成するには不可欠。

 小さな子どもを持つ母親は、吾が子の足音を聞き分ける事が出来る。そればかりか、「元気が無い」とか「嬉しそう」などの心の状態までも感じ取れる場合がある。
 この様な能力は、五感相互の自動翻訳機能を鍛えていないと真似できない。