【013】剣道十忌

 以前触れた「剣道四戒」「驚(おどろ)く,懼(おそ)れる,疑(うたが)う,惑(まど)う」と類似した教えを古書に見付けた。

 心形刀流の図解技法解説書、金子愛蔵著『武道教育』には「剣道十忌」というものが記されている。

 剣道十忌とは、

①遅緩 ②疎忽 ③狐擬 ④猶予 ⑤狼狽 ⑥畏懼 ⑦急勝 ⑧忿怒 ⑨軽侮 ⑩驕慢

 細かい解説が付されていなかったので、自分なりに意味を考えてみた。

 「①遅緩」を忌む=敵の技には素早く対応出来るようにする、と云う教えか。「剣道四戒」の「惑」に通じる?
 「②疎忽」を忌む=敵の動きや自分の技の細かいところにも気を配る、と云う教えか。
 「③狐擬」を忌む=「剣道四戒」の「疑」に同じ。
 「④猶予」を忌む=勝負が終わっても気を抜かない「残心」の事か?あるいは「剣道四戒」の「惑」に同じ?
 「⑤狼狽」を忌む=敵に意表を突かれて呆然自失とならない。
 「⑥畏懼」を忌む=「剣道四戒」の「懼」に同じ。
 「⑦急勝」を忌む=勝ち急がない。
 「⑧忿怒」を忌む=平常心。
 「⑨軽侮 ⑩驕慢」を忌む=敵の実力を侮らず、自身の実力を過信しない。

 「剣道四戒」も「剣道十忌」も、他の武術や勝負事、仕事や人生の重要な場面で役に立つ教えだと思う。