(八)シュルツェー氏振盪法

 本法は仮死新生児に施す人工呼吸法。

①先ず新生児の口腔・咽頭内の粘液を拭去するか、適当な太さの軟性カテーテルを咽頭部に向けて挿入し、他端に口を当て強く之を吸い出し、気道から異物を除去する。これは児体の背部を敲打したり温湯、冷水等に児体を浸漬しても反応のない児体に施すのに適した方法である。

②児体を両手でしっかり掴む。術者の両手は児体の双肩を持ち、拇指は肩の全面に接し示指は後方より腋窩に入り、残りの三指は斜めに胸の背面に接するようにする。
 児体の背部は術者の前面に向かい、児頭は術者両腕の尺骨側の間に位置を置く。術者はやや両足を開いて腕を伸展し、児体を下方にぶら下げる。

③術者は腕を伸ばしたまま、一様の速度で児体を振り上げ、児体の腰部が屈曲するようにする。この際、胸部の臓器は胸壁及び横隔膜から強い圧迫を受けて受動的に呼気運動を営み、気道の下部に吸入された物質を呼び出す。

④数秒後、一様の速度で再び児体を下方に振り降して元の位置に戻す。この際、胸部は圧迫を除かれて拡張するので、受動的に深い吸気を営むことになる。これらを自然呼吸が戻る迄、規則的に反復する。