【067】脱力体養成講座 (210427)

 『催眠術応用速成上達法 柔道宝典』の中に、脱力養成に役立ちそうな稽古法が記されていたので紹介する。
 以下の稽古法は単純で誰でも容易に取り組める。武術的「脱力体」を養成するのに優れた方法のひとつであり、又、呼吸を盗む稽古法としても優れていると思う。
 熱心に稽古をしても効果が顕れない人、「脱力」の意味・感覚がわからない人は1日10分づつでも続けてみると良いだろう

◎体押法

 二人が膝を着けて対座する。片手づつ出して互いに相手の胸に掌を当てて押し争う。体に力が入っていると相手に押し負ける。

◎首引法

 二人が膝を着けて対座する。帯で輪を拵え両者の首に掛けて引き争う。体押法同様に、体に力が入っていると相手に引き負ける。(相手が息を吐いた瞬間を狙って引き返せば容易に勝つ事が出来る)

【補足 呼吸について】

 呼吸と動作は一致する。即ち・・・

・首引法で引く動作をする際には、自然と「吸う」呼吸になる
・体押法で押す動作をする際には、自然と「吐く」呼吸になる

 従って、押す動作の際に息を吸ったり、引く動作の際に息を吐いたりすれば、それだけで相手に負けてしまう。首引法では「相手が息を吐いた瞬間」を狙え、と教えている。「相手が息を吐いた瞬間」と云うのは、これから引く動作をしようとする直前の一瞬の「虚」が生じるタイミングである。ゆえに体押法で勝ちたい時には、「相手が息を吸い込んだ瞬間」を狙えば良い。

 ちなみに、相手の呼吸を読む時は「目で見て」読むのではなく、全身から発せられる気配を感じてカラダが自然と反応するようにならなくてはならない。こう言うと難しそうだが、体押法と首引法を準備体操代わりに毎回10分ほど稽古していれば、このような感覚は自然と身につくので心配はいらない。