●不及流歩術④

◎平地運歩之法

 平地は真行草の歩驟で一町づつ歩く事を繰り返す。
 最初は真を用いて五分五分の歩幅で一町歩き、次は、左六分右四分の歩幅で一町歩き、その次は、右六分左四分の歩幅で一町歩き、その次は草の歩驟を用い、何も考えず普段の歩き方で一町歩く。これを繰り返す。但し、行の歩驟で四分の歩幅で踏み出す時は、その片方の足を休ませる気持ちを持つ事が大事。
 たとえ長い道のりでも茶店などで休息をとるには及ばない。急ぐ気で歩かなくても自ずと目的地に早く到着出来る。
 この平地運歩之法を用いるときは、諸々の用事も早目に済ませることが出来るのだが、無用の寄り道はしてはならない。
 無用の寄り道など運歩の法がもたらす益を無駄にしてしまう。但し、歩く事の不得手な人はそれ相応に小休止してもかまわない。
 歩きが達者な人はこの歩法で疲れを知らずに飛ぶ様に歩く事が出来る。
 長途に限らず五町十町から二三十町の道のりでも、この運歩之法を用いれば疲れず早く目的場所に到達出来る。