[コラム]「仮想の四角形」図解解説

 「仮想の四角形」を利用することで、ほとんど力を使わずに敵を崩す事が出来る。

 図は、自身と敵が向かい合った状態をあらわす。

◎図の左半分は自身と敵の身体が接触していない時の状態。

①我の重心がエリアaの中にあれば我は崩れない。
②敵の重心がエリアbの中にあれば敵は崩れない。
③我の重心がエリアaの外(例えばxやy)に移動すると我は崩れる。
④敵の重心がエリアbの外(例えばxやy)に移動すると敵は崩れる。
⑤エリアaとエリアエリアbの面積を比較するとbの面積の方が大きいので、我よりも敵の姿勢の方が安定している。

◎図の右半分は自身と敵の身体が接触した時の状態=柔道や相撲の様にガッチリ組み合わなくても、手首や胸を掴んだ(掴まれた)だけでも、エリアcが出現する。

①我も敵もエリアcの中に重心がある限り崩れない。
②敵を崩すには敵の重心をエリアcの外(例えばy)に移動させなくてはならない。
③身体接触の無い状態ではxに重心が移動すると我も敵も崩れるが、身体が接触した状態ではxはエリアcの中にあるので、xに重心が移動しても我も敵も崩れない。
④接触状態のまま我がエリアaを形成するとエリアcは消滅する。これに気付かない敵は、既に消滅しているエリアcの中(例えばx地点)に重心を置き自ら崩れて行く。

【結論】敵と身体が接触しても、我はエリアaの中に重心を置いて動く、そうすればエリアcが形成されない。
 この時、敵にとってエリアcは「幻想の四角形」となる。(存在していないのに存在しているような感覚になるので「幻想の四角形」と命名)
 ある意味、我と敵が協力しないとエリアcは出現しない。=柔道や相撲は、形成されたエリアcの外側に相手の重心を持って行くことで相手を崩す。
 強固なエリアcが形成されることを江戸時代は「合気」と云い、これを戒めた。「合気を外す」とは、「幻想の四角形」の中で敵を処理すること。
 正しい姿勢を維持しつつ余計な力を捨てないと、重心がエリアaの外に出てしまうので注意する事。