【274】真偽を見極める

 昔、聞いた馬鹿馬鹿しい話。

 「合気道家が袴を履いているのは、極意である膝の動きを隠す為である」

 そもそも、育成すべき弟子に対して、なぜ、技の要諦を隠すのか?仮に、敵に技を盗まれることを心配して膝を隠しているとしても、「見られただけで簡単に盗まれるような極意には、それほどの価値はない」

 これは、常識的に考えておかしい、と誰でも分かる。心形刀流の達人・松浦静山も『剣談』の中で、「たとえ師匠の言葉でも、常識的に考えておかしなことはおかしい」と述べている。

 奥伝技を披露しても、分からない人には分からない。奥伝技を見ただけで理合いを悟り技を盗める人と云うのは、潜在的に奥伝レベルにまで到達している人なので、技を見なくてもやがては自力でそこ(奥義)に到達出来る。

 仮に、「真の奥義」を伝えたとしても、未熟な人は「真の奥義」と「似非奥義」の判別が出来ないので、後から別の誰かに教わった「似非奥義」を採用し、「真の奥義」を捨ててしまう。

 このように考えてくると、盗まれることを危惧して技を隠すこと自体、無意味。